韓国化学大手、負極材コーティングのピッチを量産へ 二次電池普及で需要増

韓国電池素材大手のポスコケミカルが、韓国化学大手OCIと共に、合計745億ウォン(約73億円)を投資し、合弁会社を通じて二次電池の中核素材である負極材コーティングのピッチ1.5万トンを生産する。ハイテク素材分野の競争力強化に乗り出す計画だ。

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合弁会社ピーアンドオーケミカル(P&O CHEMICAL)は2020年7月に設立され、ポスコケミカルが51%、OCIが49%の株式を保有している合弁会社である。今回のプロジェクトの投資額は、両社が株式の割合に応じて順次出資する予定である。

今回生産するピッチは、融点が高いと軟化点(高軟化點)ピッチであり、石油を蒸留して得られた残留物を熱処理して製造した炭素材料である。高軟化点ピッチは二次電池の充電/放電効率の向上とバッテリー寿命を増加させるために、陰極材表面のコーティングのために主に使用され、負極材の膨張を防ぎ、大容量バッテリーと次世代シリコン負極材核心素材で区分される。

世宗市にあるポスコケミカル負極材工場の生産ライン

これまでバッテリー市場の急成長に応じて負極材の生産の必須素材であるコーティングのピッチ需要は世界的に増加しているが、国内には負極材用ピッチメーカーがなく、全量を輸入に依存している。今回の投資で、ポスコケミカルは負極材核心素材であるコーティング用ピッチの国産化と内在化を推進することにより、需給の安定性とカスタマイズ品質の生産を介して事業競争力の向上が予想される。

韓国で唯一、ピッチの生産技術を保有しているOCIは、今回の協力で、既存の鉄鋼副産物を活用したピッチを千三市、石油系と軟化点ピッチの生産に新しい事業への進出を通じた収益の増大が期待される。

ピーアンドオーケミカルは2022年に5万トン規模の半導体洗浄用高純度過酸化水素の生産に加え、2024年二次電池の素材である負極材コーティングのピッチを生成することにより、高付加価値先端化学素材分野で事業を持続的に拡大していく予定である。

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