【コロナ禍のヘルスケア情報伝達】“倫理観あるリアル店頭”が鍵/勉強会DMSで大木・松井社長が講演

【2021.08.27配信】ドラッグストアをはじめ卸やメーカーが参画して商品流通の在り方を話し合う勉強会の「ドラッグストアMD研究会」(DMS)は8月25日〜27日まで、「上半期政策セミナー」をオンライン配信で開催した。その中で講演した大木ヘルスケアホールディングス社長の松井秀正氏は、コロナ禍で正しいヘルスケア情報の伝達が難しくなっている状況を指摘し、“高い倫理観を持った”店頭が鍵になるとの考えを示した。同社では店頭と顧客の関係性を強化するためにイベントなどを活用する施策を講じている。

大木ヘルスケアHD社長の松井秀正氏は講演の中で、コロナ禍で本来は求められる正しいヘルスケア情報の伝達が難しくなってきている状況を指摘。

SNSなどではエコーチャンバーにより偏った情報だけに触れる状況が生まれることも一因とした。エコーチャンバーとは、自分の意見に近い情報が表示されやすくなり、自分とよく似た意見が返ってくることで、一つの考え方がより濃厚になっていく現象のこと。

こうした中、松井氏は、正しいヘルスケア情報を伝達するためにも、生活者とリアルなコミュニケーションを取れる生活基幹業態として、高い倫理観を持ったドラッグストアが情報伝達者として最適と指摘した。

同社では、例えば軽運動サポートとして、ノルディックウォーキングイベントなどをウイルス対策の徹底のもと実施しているが、店頭と顧客がコミュニケーションをとることにつながり、関係性構築に役立っているという。
また、認知症サポートとなる「シナプソロジー」の店頭での実施を支援している。
「シナプソロジー」は、2つのことを同時に行う 左右で違う動きをするといった普段慣れない動きで脳に適度な刺激を与え活性化をはかるもの。少人数から簡便に実施できるのも特徴。

これにより、普段は「お客さまと従業員」という関係性が、「お客さまと“先生”」という位置づけになることにも寄与し、正しい情報の伝達もスムーズになる可能性があると指摘した。

さらに、松井氏は「人口減少」「市場のシュリンク」という状況に改めて目を向けると、これまでの「競争」ではなく、「共創」領域を拡大することで明るい未来を描けるのではないかと提言。

パンデミック、異常気象、災害、少子高齢化、労働人口減少、介護、フレイル、認知症、ペットヘルスケアなど課題が山積する中、社会問題解決型の製品開発が必要になっており、問題の分析や細分化、出来ることの提案などは1社では限界があるのではないかと述べた。「共創」の領域を広げていくことで、ビジネスとしても、投資のリスクを分散することになるのではないかと語った。

コロナ禍でのワクチン接種を例にみても、これまで一律の国からの指示に基づく実施から、今後は国は指示は出しても実行は地域や民間である企業などが担っていくことが顕在化したと指摘。
「民間企業が将来起こる社会問題の解決策を準備しなくてはならない」として、協会や業界活動の活発化など、「共創」理念の共有を呼びかけていた。

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