【夏の甲子園】高野連はなぜ見送った? “無駄球”解消の「継続試合」は導入が前提だった

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今年は雨に泣いた甲子園だった

大詰めを迎える第103回全国高校野球選手権大会(甲子園)。今夏は季節外れの長雨に見舞われた。そんな中でクローズアップされたのが「継続試合」だ。今大会は降雨ノーゲームが2試合、降雨コールドゲームが1試合あり、雨に泣いた甲子園だった。

試合の成立条件(高校野球は7回終了)を満たしていない段階でプレーを止めて、中断時点から再開するのが「継続試合」だ。高校野球では投手の障害予防・負担軽減を目的に、昨春の選抜大会から「1週間500球以内」(試行期間3年)の球数制限を導入。その目的から当然、ノーゲームとなった試合で投げた球数も制限対象となる。記録が生きないノーゲームではなく「継続試合」が導入されれば「無駄球」の解消につながる。仮に今大会のように終盤にかけて日程が詰まる場合、ノーゲームによる無駄球が発生すれば、当該選手とチームへの影響は計り知れない。

今大会「継続試合」というワードを最初に発したのは高野連の小倉事務局長だった。「継続試合という表記で、昨年度も議論をしていました」。雨で今大会2度目の降雨ノーゲームが発生した19日に、サスペンデッド導入の考えがないかを問われた際に経緯の一端を語っていた。「投手の障害予防、投球数制限のところでいろんな課題が出てきている。選手権大会後に整理をしながら検討していきたい」。

実際は導入前提で話が進んでいた案件だった。2019年2月に、日本高野連が理事会で立ち上げた「投手の障害予防に関する有識者会議」。半年をかけた議論の中で「1週間500球以内」の制限が決まるわけだが、すでにこの時点で「継続試合」はセットで議題に上がっていた。

ある高野連関係者は「有識者会議の出席者である高校野球監督経験者の方から『金属バットの反発係数を抑えること』と、投手の肩を守る観点で投球数をカウントするのならば『継続試合を導入するべき』との進言があった」と明かす。その上で議論の流れをこう説明した。「否定的見解があったわけではなく、時間切れというか、試行期間中の宿題として引き続き検討することになった」。

なぜ見送られたのか。真相を知る大会関係者は「是非について、都道府県連盟との意見交換をさせてほしいとの要望があったからです。理由は運用上の取り扱いで『マニュアル』を詰めるため。例えば継続試合を翌日にやったが、1イニングで終わってしまった場合に、その際の入場料はどうするべきか。翌日、仕事の関係で裁けない審判員も出てくる。そのような事案はどうするか。そういった運用上の問題点を洗い出し、取り扱いを詰める必要があるとの指摘だった」。マニュアルに不備があれば現場が混乱する。各都道府県連盟に当てて、それを集約して解決の手引きを導くのに時間を要するとの判断だった。

検討課題となってすでに2年が経過し、マニュアルづくりも進んでいるはずだ。さらに今大会の問題提起で、継続試合導入を求める「世論」も高まった。大会関係者の一人は最後にこう言った。「正直、継続試合を導入しない理由を見つける方が難しい。高校野球ファンの声や理解も大事。一段と加速するのではないでしょうか」。急激な気候変動への対策なども含めて「徹底したマニュアル化が求められる時代」(高校野球関係者)。環境や考え方の変化に応じた諸問題を解決しながら甲子園の魅力を保つため、スピード感が鍵となりそうだ。