【在宅医・佐々木淳コラム】2021年8月27日、現場から

(佐々木医師提供)

新橋、金曜日の夜20時。

駐車場では、酸素調達チームが回収してきた酸素濃縮器の消毒とパッキングを行っていた。

在宅コロナ患者さんたちの命を支える酸素濃縮器。
公的機関や酸素納入業者からの新規供給はほぼ絶たれている。

そこで僕らは、病状改善または入院によって在宅酸素療法を離脱した方々の自宅を訪問し、酸素濃縮器を回収し、自分たちで消毒し、新たに酸素が必要になった方の自宅に届けている。

多い日は一日に8台を回収し、往診車にも4台搭載して出発するが、やはり途中ではけてしまう。毎日が綱渡りだ。

このギリギリの状況で、青山の酸素センターが稼働した。とりあえず入院が決まった人たちから少し早めに酸素濃縮器を回収できる。しかし、キーとなるのは、やはり在宅酸素が必要な中等症Ⅱ以上の発生を減らすこと。ぜひ抗体カクテル療法を、もっと広く実施できるようにしてほしい。

そして、一番大切なのは、感染者自体を増やさないこと。向こう1~2週間はまだまだ在宅コロナ患者は増えると思うが、そこから先の動向は、まさに今日以降の感染者数にかかっている。

コロナ在宅医療の負担がのしかかっているのは医師・看護師だけではない。コロナ在宅医療を支えるためには、多くのサポートが必要なのだ。

非医療職も含め、スタッフにも大きな負担がかかっている。
1日でも早く、平時に戻ってほしいと願わずにはいられない。

佐々木 淳

医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長 1998年筑波大学卒業後、三井記念病院に勤務。2003年東京大学大学院医学系研究科博士課程入学。東京大学医学部附属病院消化器内科、医療法人社団 哲仁会 井口病院 副院長、金町中央透析センター長等を経て、2006年MRCビルクリニックを設立。2008年東京大学大学院医学系研究科博士課程を中退、医療法人社団 悠翔会 理事長に就任し、24時間対応の在宅総合診療を展開している。

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