「自分が死んでも走者を進めるとか」西武辻監督、若手へ求める“凡事徹底”

西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】

2000安打に迫る栗山は好調でない中で3安打と結果を出した

■西武 7ー2 日本ハム(27日・メットライフ)

西武の栗山巧外野手は27日、本拠地・メットライフドームで行われた日本ハム戦に「3番・指名打者」で出場し、4号ソロを含む4打数3安打1打点。7月6日の同カード(旭川)以来18試合ぶりの猛打賞で、通算2000安打にあと6本とした。ペナントレース後半戦に突入してから前日まで37打数6安打(打率.162)と振るわなかったが、大記録へ一気に加速した。

初回の第1打席は、日本ハム先発・池田の初球のチェンジアップを捉えて右前打。2点ビハインドで迎えた6回先頭の第3打席では、左腕・宮西に対し、これまた初球のスライダーを見逃さず、右翼席へ4号ソロを放って1点差に迫った。栗山自身、この時点では「接戦で良いゲームですので、何とか勝ちたいです」とコメントを残していた。

しかし、この日の西武は流れが悪い。続く7回に登板したリード・ギャレット投手は1安打1四球で1死二、三塁のピンチを背負った上、木村に右犠飛を許し栗山の一発をフイに。8回にはマット・ダーモディ投手が決定的な3点を奪われ、終わってみれば2-7の完敗だった。

辻発彦監督は栗山の3安打について「本人としては調子が良くない中で、気持ちであれだけ打てる。さすがだと思う」と称賛。一方で、「若い選手たちには少し話をしないといけない。カウントが追い込まれた時、試合の流れの中でどういう打撃をしなければならないのか。自分が死んでも走者を進めるとか、そういう意識をもっと持てるようにならないと、レギュラーにはなれない。まだそこまでの余裕がない」と苦言を呈した。

森&山川が登録抹消中、若手に一皮むけてほしいところ

主軸の森友哉捕手と山川穂高内野手は、山川の個人契約マネジャーが新型コロナウイルスの陽性判定を受け、濃厚接触者となる疑いがあるため、前日26日に「特例2001」で登録を抹消。2人ともその後のPCR検査で陰性となったものの、大事を取ってこの日も登録されなかった。

破壊力が大幅ダウンした中、2点を追う5回、「9番・左翼」でスタメン出場した23歳の鈴木将平外野手が無死一塁で打席に入ったが、日本ハム2番手の井口の前に3球三振。続く24歳の岸潤一郎外野手もカウント2-2からフォークを空振り三振と、為す術もなかった。

コロナ禍と故障者続出でまさかのリーグ5位に低迷し、首位オリックスに9.5ゲームの大差をつけられている西武。連日の猛暑の中、チーム野手最年長コンビの栗山と中村剛也内野手が3、4番を務める現状は、いかにも苦しい。大記録に迫るベテランの背中を見て、若手にもう一皮むけてほしい。指揮官の切なる願いだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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