「絶世の美女に会える」そんな都市伝説があった 息を止めて3周がクリアできれば!埼玉・新座

絶世の美女に会いたい人は、ぜひチャレンジを。埼玉・新座にある臨済宗のお寺「平林寺」に、地元では有名な都市伝説があるのをご存じでしょうか。この「平林寺」は、妙心寺派としては関東初の禅修行の場として有名ですが、実は広大な境内に存在するスポットにまつわる、あるうわさがあります。

そのスポットは、野火を見張るための防火台として作られた「野火止塚」です。この「平林寺」付近は昔、武蔵野の平地で、よく不審火である野火が発生したそうです。その野火を見張るための防火台がここ武蔵野には点在しており「平林寺」にある「野火止塚」もそのひとつといわれています。

山門を抜けて歩くこと約15分。左手に高さ5メートル、直径20メートルほどの小山の上に「野火止塚」と書かれた札が建てられた塚が出現します。この塚の周りを息を止めたまま3周すると「近いうちに絶世の美女と出会える」という都市伝説の場所です。私も高校時代、この付近で生まれ育った同級生が「チャレンジして失敗した」などと騒いでいたのを聞いたような気がします。

私も今回、妙な色気を出して塚の周りを走り始めたのですが、この暑さと体力のなさで3周どころか1周もできずに断念しました。

ところが、この都市伝説のいいところは、再チャレンジの道も設けられているのです。しかも「野火止塚」3周よりは簡単と思えるをチャレンジです。それは「野火止塚」から境内林をさらに奥に進んだ「業平塚」の周囲を、やはり息を止めたまま3周するとやはり絶世の美女と出会えるというものです。

「業平塚」の業平という名前は、平安時代に活躍した平城天皇の孫で6歌仙、36歌仙の在原業平(ありわらのなりひら)のこと。全125段からなる『伊勢物語』は、在原業平の物語であるされ、昔から美男子でプレーボーイとされる人物として有名です。

この「業平塚」は、業平が馬を止めた休んだ場所と伝わっており、高さは80センチ、直径2、3メートルほどあります。昔は「むさし野にかたり伝えし在原のその名を忍ぶ露の古塚」という和歌が書かれた歌碑も建てられたと伝わっています。歴史上でも名高い美男子のパワーにあやかるため、ここでも息を止めた走り走り始めましたが、結局は2周でリタイア。夢敗れて呆然(ぼうぜん)と立ちすくむしかありませんでした。

このとき、昔聞いた話を思い出しました。「走っている姿を絶対にみられたはいけない」-と。そういえば、チャレンジの最中、境内を散策している人に怪訝(けげん)そうな顔でみられていた気が。それなら、どっちにしてもダメだったかも、と気を取り直した次第です。

ただ、体力に自信があり、息を止めて走るのが得意な人はぜひチャレンジしてください。成功しても、その後のことは保証の限りではありませんが…。

(デイリースポーツ・今野 良彦)

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