韓国経済紙「日本の中小企業は超一流」「文政権は国産化を自画自賛するな」

韓国の経済紙が日本の中小企業に着目し、その優秀さの源泉について探り、韓国中小企業との違いなどについて触れている。

毎日経済新聞は28日、『サムスン電子・アップル・TSMCも並ぶ?日本の中小企業は、なぜ強いのか』という長文の特集記事を掲載し、その強さの背景を紹介し、韓国企業が取るべき道について論じた。

参考記事:韓国経済紙が文政権の国産化政策に疑問「9千億かけて1千億の効果」「日本企業なしに生産不可」

執筆者のシン・ユンジェ記者は、「よく日本は韓国に比べて中小企業が強いという」とし、一昨年7月に日本政府がとった対韓国半導体素材輸出規制の例を挙げ、それら重要素材の生産者が日本の中小企業であったことに言及。

2019年7月に日本政府は韓国への半導体素材3品目について輸出規制(輸出管理強化)をとった

その上で、日本の国家競争力は下落傾向にはあるが、「しかし、それでも日本が世界3位の経済規模を維持しているのは強い中小企業が支えになっているからという分析が多い」と指摘した。

続けて、「実際に日本の中小企業が作る製品の中には、世界市場で高いシェアを占めるもの並んでいる」とし、「一部(の企業)では、アップル、サムスン電子、TSMCなど超一流企業を掴み常連客に従えているところもある」と説明。これら中小企業は「東芝など、過去には輝いていたものの、不振の沼から抜け出せずにいる日本の一部大企業とも対比される」と評価した。

一方で韓国の中小企業については、絶対数で日本の中小企業数を上回るものの、「韓国の中小企業の競争力は、日本企業を下回っている」とし、過去の調査をもとに「国内の企業は、自社の技術力を日本の競合他社に比べて約89%水準と自己評価した」と伝えた。

日本の中小企業の特徴についてシン記者は、「特に素材・部品・装置企業の中にはニッチ市場を攻略するところが多い」とし、規模が大きくなくB2B事業主体であることから知名度こそ低いが、製品の価値は「世界の超一流企業が並んで取引するほどだ」と指摘している。

例として、半導体マスク欠陥調査装置を作るレーザーテック社や、半導体用フォトレジストを作る東京応化工業、同原料をつくる東洋合成工業などの存在を挙げている。半導体関連以外でも、競技場や空港などに使われるドーム技術に特化したタイヨー工業、1980年代から小型CCTVカメラのトップを走るワテックなどについても触れた。

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これら企業の競争力の要因としてシン記者は、日本の産業史を紐解き、戦争時の軍需産業育成と戦後の状況について言及。「軍需メーカーとして動員された民間企業は、電車、軍艦、戦闘機などの武器を生産し、製造業の基盤技術も一緒に育てることができた」とし、戦後は「軍需業者の廃業後で仕事がなかった多くの技術者は、代替として創業し、多くの企業が生まれて消えた」と説明。その中からソニーや村田製作所などの有名な大企業だけでではなく、多くの素材・部品・装置関連の中小企業もこの時に生まれたと述べている。

シン記者は、日本の人気テレビドラマの主人公・半沢直樹にも着目し、「小さくて丈夫なネジが日本を支えてくれている」という台詞を挙げ、日本人は職人精神を大事に、それが日本のモノづくりを支えていると分析した。

シン記者はまた、日本の中小企業らが、90年代から徐々に大企業からの脱系列化を進め、自立をはかったことが現在の強さに繋がっていることにも言及。今では大企業と中小企業の共同研究開発割合が増えるのみて、その関係が「韓国に比べて水平的だと評価される」と指摘した。これはサムスンなど大企業への依存度が高い韓国中小企業の現状を揶揄したものとみられる。

一方で、現在の日韓対立状況については、「勝者のないゲーム」「中国だけ得する」と分析。韓国の国産化政策も進められているが、「日本がターゲットとした半導体輸出規制の3品目のうち、フォトレジストとフッ化ポリイミド2品目の日本への依存度は全く下がらなかった」とし、文在寅大統領らが国産化政策を「自画自賛する状況にはない」と批判した。

その上で、「真の克日に向けた近道は、政府が成果を誇ることに没頭するよりも、状況を冷静に認識し、黙々と力を育てる中小企業を水面下で物心両面サポートすること」であると主張している。

この記事をみた韓国のネットユーザーからは、

「個人でも企業でも、競争を克服する道は実力のみだ。記事内容は正確な分析だ」

「…文政権は中小企業を活かさず、急に大企業は叩くしで、これで国の経済が発展するのかと…」

「公務員の待遇を減らし、中小企業を支援しよう」

「ファクトは、日本はコロナ下でも中小企業のおかげで完全雇用だが、韓国はみんな大企業だけを狙うって入ろうとするので職場がない…」

「このような記事は本当に良い。このように現実的でバランスのある視点を経済界や政界でもっと重要視すれば…」

「日本はどこに行っても《大雑把》という印象を受けることがない。どの田舎のみすぼらしい食堂でも、一見古い感じはあっても、大雑把であったり、手抜きしたような店が1カ所もない。本当に超えられない完璧なる国民性」

「世界のアホらが日本を舐めるのをみると笑ってしまう。一緒に成長しようとせず、政治家らが扇動してあっちに行ったり、こっちに行ったり…」

「日本人から本当に学ぶことは、作ることに真剣なこと」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。

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