【夏の甲子園】19年ぶり決勝進出の智弁和歌山・中谷監督「今も口うるさい主将のような気持ちで」

智弁和歌山・中西は124球の完投で決勝進出を果たした

大会第14日(28日)の準決勝第1試合は智弁和歌山が近江(滋賀)を5―1で下し、19年ぶり4度目の決勝進出を果たした。

初回から2年生右腕の山田をとらえた。角井(3年)、岡西(2年)の適時打で2点を先制すると、6回にも大仲(3年)の適時二塁打で2点。投げてはエース右腕の中西(3年)が4安打1失点、10奪三振の完投勝利。

好投手を攻略した中谷仁監督(42)は「低めの変化球を我慢できればチャンスはあると思っていた。角井が行けるぞ、という勢いをつけてくれた。中西も素晴らしい投球でした」と目を細めた。

チームとして意識しているのは「3」と「5」「2」の数字。「1試合で少なくても3回、多くて5回はチャンスがある。どこで誰に回ってきてもきっちり得点をとろうということ。守備はあわてないよう2点までは大丈夫」(中谷監督)との設定だ。この日は攻守がかみ合い、まさに狙い通りの試合運びだった。

監督就任3年目。県大会決勝でプロ注目右腕の市和歌山・小園を撃破して4大会連続出場を果たし、全国制覇に王手をかけた。そんな中谷監督は「指導方針なんてない」と言う。甲子園通算68勝の名将・高嶋仁前監督(75)を師を仰ぎ、後任の重圧の中でチームと必死に向き合ってきた。

「先生の教え子ですし、指導者の理想像は高嶋先生。すべて継承しているつもりでも僕にできないことがある。子供たちと成長していきたいと思っているので、方針が出来上がっている立場ではない。まだまだ勉強。先生はベンチ中央で腕を組んでどっしりしていますけど、僕は心配性で小心者なんで準備の声掛けとかばかりで…。口うるさいキャプテンのような気持ちで今もいる。先生のすごさ? 勝ちへの執念と思います」

1997年は主将として全国制覇、そして今夏は監督として頂点が目前に見えた。「やはり勝つと負けるでは天国と地獄くらいの差がある。しっかり準備したい」と力を込めた。

© 株式会社東京スポーツ新聞社