【東京パラリンピック】選手村のバス接触事故が海外にも波紋 今後の自動運転車普及に影響も

東京パラリンピックの選手村

東京パラリンピックの選手村でトヨタ自動車が運航する自動運転バスが起こした事故が、海外にも波紋を広げている。

柔道男子81キロ級の北薗新光(30)が26日に選手村内で自動運転バスと接触し、28日の試合を欠場することに。全治2週間とみられている。

この事故を受けて、バスを運行していたトヨタ自動車の豊田章男社長が27日に自社メディアで謝罪する事態に。事故の詳細を説明し、バスがT字路を右折した際に横断歩道で一度停止したが、オペレーターが手動操作で発進させた直後に歩行中の北薗選手と接触したとしている。そのうえで豊田社長は事故時の状況について「パラリンピックの会場で、目が見えないことや耳が聞こえないことへの想像力を働かせられなかった」と謝罪した。

パラリンピックの選手村における異例の事故に、海外でも波紋が拡大。カナダメディア「スクリーンラント」は「自動運転車は何年にもわたってテストされているが、技術は完全にはほど遠いもので、市場リーダーのテスラでさえ、自動制御下で一部の車が事故を起こした。トヨタにとっても、安全性が問題になっているようだ」と自動運転の安全性を疑問視した。

さらに米メディア「テックタイムズ」は「26日に発生した事故は、自動運転技術が使用できる状態にはない可能性があることを証明している。人間の安全のためには、さらに評価する必要がある」と現状における自動運転車の危険性が露見したと指摘。「トヨタのような自動車メーカーは事故を防ぐために、自動運転車を発売する前にいくつかのテストを実施する必要がある」と安全性の検証などを見直す必要があると糾弾し、今後の自動運転車における戦略にも影響が出てくる可能性がある。

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