景気判断据え置き 3月県内金融経済概況、日銀横浜支店

 日銀横浜支店は9日、3月の金融経済概況を発表、県内景気について「緩やかに回復している」とし、昨年4月から続く判断を据え置いた。個別7項目のうち生産を下方修正、住宅投資を上方修正した。

 生産は「足元横ばい圏内の動きとなっている」とした。輸送機械は中国や産油国など新興国向けトラックや国内向け乗用車が低迷。電気機械はトヨタ自動車の工場の生産停止などの影響で電子部品・デバイスが大きく減少しているが、中国を中心に外需向け基地局通信装置などが増加している。

 住宅投資は「総じて堅調に推移している」と判断。着工ベースでは、昨年の大型案件の反動減などで分譲マンションが足元弱めの動きとなる一方、貸家が幾分持ち直しているという。

 その他の5項目は据え置いた。輸出は中国を含めアジア向けなどで一部に弱めの動きが残るが、北米や欧州向けの自動車を中心に堅調で「持ち直している」と判断。個人消費は「天候要因などから弱めの動きがみられるものの、全体としては底堅く推移している」とした。百貨店売上高は衣料品が振るわず弱めの動きで、新車登録台数はトヨタの生産停止の影響もあり、足元減少しているという。

 雇用・家計所得環境は、1月の有効求人倍率が1・21倍と前月を上回るなど「全体として改善している」と判断。公共投資は独立行政法人による大型案件が減るなど「減少している」、設備投資は「増加している」とした。

 日銀のマイナス金利導入に絡み、個人預金の金利について、岩崎淳支店長は「マイナス金利を付けた途端、(預金者は金融機関から)現金を引き出す」と述べ、金融機関は個人預金のマイナス導入には踏み切らないとの見方を示した。

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