家族問題評論家・池内ひろ美 被災地&途上国で女性支援行うNGO「ガールパワー」の原点

美貌と人を引きつける魅力は変わらない

【直撃!エモPeople】美人評論家の活動はどこまで広がるのか。ワイドショーのコメンテーターなどで活躍した家族問題評論家・池内ひろ美さん(59)が家族問題をカウンセリングする「東京家族ラボ」を開設して25周年を迎えた。さらに女優デビュー、一般社団法人「ガールパワー」代表理事に加え、LGBTQ+支援イベントと、新たな取り組みをスタートさせた。その半生と行動力の原点とは――。

池内さんは32歳の時、5歳の愛娘を連れて離婚。自身の経験を基に、妻が人生をリストラクチャー(再構築)するため前向きに離婚を選択する新しい離婚の形を示した著書「リストラ離婚」(1996年)がヒットした。

「実は離婚するまで仕事をしたことがなく、当時はシングルマザーの雇用も守られていなかったので、フリーで出版編集の仕事を始めました。記事のプランナーをしていた時に『今後は私のような、妻から夫に離婚を言い渡すケースが増えます』と夕刊紙に提案したら『君が経験したのなら自分で書けば?』と言われて連載し、それを本にまとめたものでした」

96年、離婚をはじめ夫婦や親子などの家族問題をコンサルする「東京家族ラボ」を開設。相談件数は25年間で約4万人に上る。当初は苦労の連続だった。

「当時は誰も行っていない仕事だったため、手探り。弁護士法違反とならないためには法律の勉強も必要で、弁護士先生の事務所に7年間通いました。もともと無知なところからスタートしたので、いろんな専門家の方に『本気で教えてください』と頼み込んで、弁護士、精神科医などの専門家に協力してもらえる体制ができました」

多くの人からの応援を受け必死に奮闘していると、ワイドショーのレギュラーコメンテーターなどに起用され、その美貌と評論が話題になった。コロナ禍の現在、相談内容は意外にも「不倫問題の相談が多い。これだけ濃厚接触を避けようといわれていても、男女の営みは変わらない」とも。

2013年には、女性が自由に生きるための女子教育提供NGO「ガールパワー」を設立。被災地や途上国で女性支援を行っている。原点は阪神・淡路大震災だった。

「離婚後、大阪のアパートで娘と2人暮らしで、早朝まで仕事をした後、添い寝し始めた時。重ね置きしていた和ダンスが娘の頭の方に倒れてくるのが見え、とっさに覆いかぶさって、私は頭を7針縫うケガを負いましたが、娘は無事でした」

その愛娘は高校から英国留学し、名門ロンドン大を卒業し、総合商社勤務。チャリティー活動にも参加している。

被災地では女性支援活動が必要だと気付いた。避難所で必要なものを尋ねると、男性に比べ、「私も同じです」と自分の意見を言わない女性がいまだに多いという。

「避難所で男性リーダーが生理用ナプキンを配布する際『必要な人、手を挙げて』と言いだし、恥ずかしいなか女性が手を挙げると、渡されたのはナプキン1個。善意で人を傷つけることもある。男性だけでなく、女性リーダーもいれば、そうはならない。女性リーダーをつくるためにも正しい教育を広げたい」

ガールパワーの支部は全国に広がり、ふるさと納税事業に関わる認可も1年半の奮闘の末、佐賀県で取得。今年7月からスタートした。

さらに今年からはLGBTQ+問題の支援イベント「TRANS DIVA TOKYO 2021」を大会委員として立ち上げた。全国からLGBTQ+のパフォーマー出場者を募り、大会委員長の美川憲一のもと、7~11月の毎月予選、12月にグランドチャンピオンが決まる。そのきっかけも、ある相談者だった。

「元男性のトランスジェンダー女性が相談に来て、男2人にレイプされ、警察に被害を訴えたら『女として本望じゃないか』と言われたというのです。怒った私は被害者と一緒に警察に抗議。被害届を出そうとしましたが、当時は強姦ではなく、傷害容疑でしか受理できないとなり、被害者はあきらめました。LGBTへの理解が必要だと感じます」

50歳からは女優活動も始めた。夫婦関係を修復したいという女性の相談者に「笑顔を作って演じてみてください」とアドバイスしていた池内さん自身が「私も演じられるか、相談者のためにやってみよう」と思った。「オファーがあればどんな役にも挑戦したい」とこちらも意欲的だ。

評論家の枠を超えて、今後もリーダーシップが各方面で発揮されそうだ。

☆いけうち・ひろみ 1961年生まれ。岡山市出身。24歳で結婚、32歳のときに離婚。96年、初の著書「リストラ離婚」上梓。「東京家族ラボ」を設立し、家族問題のカウンセリング開始。ワイドショーなどのコメンテーターに。99年、会社員男性と再婚。2011年、舞台「日本の問題」で女優デビュー。映画「百年の時計」(12年)、「裸のいとこ」(13年)などに出演。13年、一般社団法人「ガールパワー」設立、代表理事。今年7月から「TRANS DIVA TOKYO 2021」(東京・六本木「金魚」)を開催。「ブラマヨ弾話室 ニッポンどうかしてるぜ!」(BSフジ)出演中。吉本興業所属。

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