三菱 初代アウトランダーPHEVがスゴイのは価格設定とその実力にあった! 新型モデル発売直前、今中古車がかなりお買い得だった

2021年冬にも登場予定の三菱 新型アウトランダーPHEV。初代モデルは2013年に登場と、じつに8年ぶりのフルモデルチェンジとなるわけだが、初代アウトランダーPHEVは一体何がすごかったのか!? 改めてその実力を検証するとともに、今超お買い得価格となっている現行アウトランダーPHEVの中古車市場の最新情報をご紹介する。

三菱 新型アウトランダーPHEV

新型アウトランダーPHEVは2021年冬に日本発売

2012年12月に登場した三菱 アウトランダーPHEVは現在フルモデルチェンジ寸前となっている。アメリカではエンジン車のアウトランダーの新型モデルがすでに登場しており、PHEVも今冬に新型モデルが日本に投入される。

2021年冬に日本市場に投入される見込みの新型アウトランダーPHEV。日本ではガソリンモデルの設定はなく、全車PHEVとなる

このようなタイミングということもあり、素晴らしいクルマだった割にはここ数年三菱自動車自体が揺れていたこともあって、実力ほどは売れなかった現行アウトランダーPHEVを振り返りってみよう。併せて現在の中古車事情もチェックしてみた。

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アウトランダーPHEVは万能な一台! それでいて価格も安かった

発売当初は現在のデザインとはことなり、シンプルなフロントフェイスとなっていた

現行アウトランダーPHEVはミドルSUVのアウトランダーの2代目モデルをベースに開発。2リッターガソリンエンジンにクラッチを使ったエンジン直接駆動モードも付く2モーターハイブリッドの駆動用バッテリー容量を12kWh(中期モデルまで)とした、プラグインハイブリッドカーである。

さらに現行アウトランダーPHEVはSUVということもあり、後輪はモーター駆動となる4WDという点も大きな特徴だ。

現行アウトランダーPHEVのハイブリッドシステムはエンジンを基本的に発電用に使うので静かでスムースという高級感を持ち、エンジン直接駆動モードにより巡行燃費も良好だ。

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街乗りなら電気だけで走行可能! しかも外部給電機能も装備

エンジンを発電機としても使用できるため、内燃機関モデルと同じ感覚で使える点も魅力だ

もちろんプラグインハイブリッドなので充電すれば買い物などの普段使いには十分な60.2km(初期モデルのJC08モード公表値)というEV走行が可能。

そして、VtoH(ヴィークルtoホーム)やガソリンがある限り給電が可能な点、前後モーター駆動による三菱自動車らしい雪道などでの高い走破性を備える。

さらにミドルSUVという車格もあり、後席やラゲッジスペースも十分な広さを備えており、ひと言でいうならば非常に万能なクルマである。

実力を考えると300万円台の価格設定は安い!

それでいて初期モデルの価格は332万4000円から、主力モデルは400万円程度であった。

発売当時はプラグインハイブリッドカーに対する補助金が43万円あったのに加え、エコカー減税も差し引くと主力モデルの車両価格は350万円程度だったのだから、注目されるのも当然だ。

2回のビッグマイナーチェンジ! EV航続可能距離の向上など地道な改良が魅力

また、アウトランダーPHEVは毎年のように改良されているのだが、大きくは前述の前期型、中期型、後期型に分かれ、以下中期型と後期型とそれぞれの特徴を見ていこう。

ダイナミックシールド採用で今の三菱顔に! 乗り心地も向上の中期モデル

現在三菱のデザインアイコンである「ダイナミックシールド」を初採用。外装を中心に大幅なイメージチェンジを敢行

まず2015年6月に実施されたマイナーチェンジでは、フロントマスクを三菱自動車のデザインコンセプトであるダイナミックシールドに変更。

ハンドリングと乗り心地(前期型の乗り心地はハイブリッドシステムなどの高級感に対し、悲しくなるほど安っぽかった)改善のため、サスペンション取り付け部のボディ剛性向上、後輪ショックアブソーバーの大径化を敢行。

中期型では乗り心地がハイブリッドシステムの高級感に何とか追いついたものになり、筆者は中期型のアウトランダーPHEVに乗った際に「涙が出そうになるくらい、いいクルマ」と心底感じた記憶がある。

排気量アップとバッテリー容量向上! 後期モデルは魅力満点モデルだった

フロントフェイスの意匠を変更し、排気量とバッテリー容量拡大を図った後期モデル。内装デザインも変更され、とくにエアコンパネルに手が加えられている

そして2018年6月に実施された改良では、ヘッドライトとグリルのデザイン変更。さらには、搭載するエンジンの排気量を2.4リッターに拡大したことによる動力性能とハイブリッドカー状態での燃費の向上。

そして駆動用バッテリー容量を12→13.8kWhに拡大し、EV走行距離も公表値で65kmに延長。走行モードにスポーツとスノーを追加している。

細かい話ではバックドアなどの開口部に構造用接着剤を採用することでボディ剛性を向上させるとともに、サイズアップに加え新型バルブを使った前後ショックアブソーバーの採用など地道な改良を続けている。

振り返ると、現行アウトランダーPHEVが登場から9年間に渡って大切に育てられたのがよく分かると同時に驚く。

初期モデルは120万円前後で買える! 今アウトランダーPHEVの中古がお買い得

大まかな中古車相場は前期型が120万円〜、中期型は180万円〜。そして現行モデルである後期型は270万円〜となっている。目立たなかったかもしれないが、やはり魅力あるクルマだけに400万円前後の新車価格と年式などを考えたら、安くはない価格である。

初期モデルがオススメ! 乗り心地改善をすれば超お買い得

その中で「まあこれならいいのでは?」と感じるのは前期モデルだ。前期型の中古車価格もそれほどお買い得感はないものの、内容と絶対的な価格を考えると、真剣に購入を考えるひともいるだろう。

ただ、前期型は前述したように乗り心地が現行モデルに比べに悪いので、不満を感じた人はアフターパーツのショックアブソーバーに交換するなどの対策を行いたい。そうすれば中期型以降に近い現行アウトランダーPHEVの全体的な高級感を堪能できるだろう。

ライバルのRAV4 PHVに勝てるか!? 新型アウトランダーPHEVは3列シートで勝負

現在、現行アウトランダーPHEVは300馬力の速さなどの破壊力を持つトヨタ RAV4 PHVに劣勢となっている。

しかし、新型アウトランダーPHEVはモーターのパワーアップや駆動用バッテリー容量の拡大によるEV走行距離の延長。

そしてプラグインハイブリッドとなるミドルクラスのSUVで7人乗り3列シート仕様を設定するというRAV4 PHVにはないアドバンテージを持つというだけに、次期アウトランダーPHEVが三菱自動車復活の起爆剤となることを期待したい!

【筆者:永田 恵一】

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