【夏の甲子園】智弁学園が準V プロ注目スラッガー・前川は「プロ野球の世界に行って頑張りたい」

悲願の夏の全国制覇はかなわなかった。第103回全国高校野球選手権大会の決勝戦が29日、甲子園球場で行われ、智弁学園(奈良)は智弁和歌山(和歌山)に2―9で敗戦。2016年のセンバツで初優勝を果たして以来の全国優勝を目指したが、頂点まで一歩及ばず涙を飲んだ。

ゲームセットの瞬間、多くのナインがグラウンド上で号泣。それでも副主将・前川右京(3年)はグッと涙をこらえながら仲間の肩を叩きつつ、顔を上げるように促した。

「みんな泣いていたし、自分も涙は出た。でも全員が、ここまで戦えたことが誇り。目標の日本一にはなれなかったが、悔いはない」

兄弟校同士で頂点を争う「智弁対決」に注目が集まった一戦は初回から4点のリードを奪われ、終始追う展開を強いられた。そんな苦しい中においても、この日1番に入った前川は相手に食らいつき、得点にこそ結びつかなかったものの長短含め3安打をマーク。今大会で2本塁打を叩き出したプロ注目のスラッガーは大きなインパクトを残し、高校生活最後の夏を終えた。

今後の進路については「高卒からプロをずっと目標にしていたので、そこは変わらずプロ野球の世界に行って活躍できるように頑張りたい」と述べると「智弁学園出身の(巨人の)岡本選手のような柔らかいバッティングができるように。自分はインパクトの時に力が入ってしまうので」とも続け、次のステージを見据えた。

一方、試合後の小坂監督は決勝での敗戦に「悔しいの一言ですね」とコメント。また、前川に関しては「本当は泣きたかったんじゃないか。副主将という立場を貫きたかったんじゃないかと思う。とにかく最後の夏、2本のホームランを放って良かったと思うし、これからいい選手になってほしい」と評し、はなむけの温かい言葉も向けていた。

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