<レスリング>【2021年インターハイ・特集】2年生で全国王者へ、来春は「団体・個人とも勝つ!」…男子51kg級・松村祥太郎(千葉・日体大柏)

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(文=布施鋼治、撮影=矢吹建夫)

 一時は8-4と大きくリードしたかに見えたが、相手側のチャレンジが成功し、6-5と1点差に縮まった。勝目大翔(静岡・飛龍)が必死に脇を差してくる度に、松村祥太郎(千葉・日体大柏)は切り、逃げ切った。

2019年全国中学選抜大会(当時大阪・吹田市民教室)以来の全国優勝を達成した松村祥太郎(千葉・日体大柏)

 勝利の瞬間、それまでポーカーフェースを貫いていた松村は、思わず相好を崩してガッツポーズ。対照的に勝目は、マットに大の字となり顔を覆った。大一番ならではの明と暗を見た思いがした。

 インターハイ最終日。個人戦・男子51㎏級決勝は、最後まで予断を許さない激闘が繰り広げられた。松村は毅然とした態度で決勝を振り返った。「最後は絶対に勝ち切るという強い気持ちがあったからこそ勝てたと思う」

 個人戦では、ひざや肩を上下に大きく揺らすフェイントを効果的に使っていた。「相手を揺さぶったり、威嚇したりしてびびらせることで、攻めさせないレスリングをするように差し向けていました」

 学校対抗戦にも出場した松村は、チームの一番手としてポイントゲッターを務めた。惜しくもチームの5連覇は逸したが、チームが決勝に進出する大きな原動力となったことは確かだ。

 「インターハイに向け、チームが一丸となって闘ってきました。自分が(一発目に)勝っていい流れを作れたと思う。でも、決勝で負けたので、その悔しさを個人戦にぶつけました」

攻めてポイントを取るレスリングへ

 個人戦でも課題はあった。春の選抜では優勝候補の一人に挙げられていながら、5位という成績に終わっていたからだ。日体大柏の森下史崇コーチは「選抜のときの松村は自分から攻め切れていなかった」と振り返る。「2-1というスコアもあったなど、審判任せ(コーション頼り)の試合もあった。今回は自分からアタックを仕掛け、審判任せにしなかったことが大きい」

決勝は激戦となったが、最後は振り切った

 選抜が終わってから5ヶ月間、松村は自分から攻めてポイントを取るレスリングに徹底して打ち込んだ。「その成果が結果につながったんだと思う」

 森下コーチは「団体戦のときもそうだったけど、今大会における松村は終始冷静に闘うように努めていた」とチームの大黒柱の成長ぶりに目を細める。「日体大柏の一番手として団体戦もプレッシャーがあったと思うけど、本当に踏ん張ってやってくれた」

 次なる目標として、松村は来年3月に開催予定の全国高校選抜大会で「団体・個人とも優勝すること」を挙げた。「今大会で51㎏級は卒業して、階級は55㎏級に上げようと思う。大学では57㎏級で闘いたい」

 森下コーチも、松村の階級アップを後押しする方針。「大学に入学したら、57㎏級が一番下になりますからね。そういうことを考えたら、高校最後の1年は本人がやりたい階級でチャレンジさせてあげたい」

 来年春までに、どこまで55㎏級の体を作れるか。松村の新たな挑戦が始まった。