【車いすラグビー】絆でつかんだ銅メダル 池主将は満足せず「自分たちはまだここだな」

車いすラグビーで日本は2大会連続銅メダル。パリ大会で金メダルを目指す(ロイター)

意地でつかんだ1勝だ。東京パラリンピック車いすラグビー3位決定戦(29日、国立代々木競技場)、日本はオーストラリアを60―52で下し、2大会連続の銅メダルを獲得。目標の金メダルには届かなかったものの、選手たちの〝絆〟が垣間見えた。

今大会は新型コロナウイルス禍の影響で史上初の1年延期となった。感染症対策の観点から全体練習ができない時期もあったが、結束力の強さは変わらなかった。チーム唯一の女子選手・倉橋香衣(商船三井)が「リモート飲み会とかちょっとだけやっていましたね」と笑うように、選手たちが親密に交流。合宿が再開してからも、積極的にコミュニケーションを重ねてきた。

ただ、ケビン・オアー監督はさらに高いレベルを求めた。今春の合宿時には「なぜ今できていないことや伝えないといけないことを伝えないんだ。今まで何をやってきたんだ!」とゲキを飛ばした。すべては本番で結果を出すために――。主将・池透暢(日興アセットマネジメント)は「少しのことでもコミュニケーションを取って、一つひとつクリアにしないといけない」と原点に立ち返った。話し合いの場を増やし、選手たちが課題を共有することで「ずっと誰かがコートの中でコミュニケーションを取り合うような状況が新たに生まれた」と確かな手応えをつかんだ。

今大会はチーム力を武器に、1次リーグで全勝。ところが、28日の準決勝は英国に49―55で敗戦。一時は失望感であふれたが「チーム全員で昨日(28日)の敗戦から立ち上がった」と気持ちを切り替え、最後の試合で自分たちの力を十二分に発揮した。

とはいえ、池主将は満足はしていない。「自分たちはまだここ(銅メダルレベル)だな、という悔しさが大きい」。パリ大会まで残された時間は3年あまり。もう二度と、同じ思いはしない。

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