【全日本】諏訪魔 “愛の力”で王道T制覇 コロナ克服も夫人のおかげ「本当ありがたかった」

3冠奪回へ一気にチャージを掛ける諏訪魔

全日本プロレス「王道トーナメント」は29日の後楽園大会で準決勝と優勝決定戦が行われ、〝暴走専務〟こと諏訪魔(44)の「愛の復活V」で幕を閉じた。

執念の勝利だった。15日の開幕から白星を重ねた諏訪魔は、第1試合の準決勝で激突した宮原健斗を万力固めで押さえ込んで3カウント。なりふり構わぬ姿勢で優勝決定戦に駒を進めると、パートナーでもある芦野祥太郎との激闘を岩石落とし固めで制し、4年ぶり3度目の優勝を手にした。

試合後、芦野には早期の世界タッグ王座挑戦を呼びかけた上で、その芦野に準決勝で敗れた3冠ヘビー級王者ジェイク・リーへの挑戦も高らかに宣言。両王座の挑戦とも「早く組んでほしい。場所は問わない」し、10月16日の東京・大田区総合体育館大会を待たずして実現する可能性が高まった。

「優勝にかけてたんだよね。すげえ不安だったんだよ、コロナ明けてから」と明かす復活劇だった。6月中旬に新型コロナウイルスに感染し、3冠戦を行う予定だった同26日の大田区大会を欠場。ベルト返上を余儀なくされた。

本当の苦しみはそれからで、持病のぜんそくに加え、味覚障害や倦怠感などの後遺症に悩まされた。「(コロナが)治ったばっかりの時は5分も歩けば苦しくなったし、とにかくしょっぱいものが食べられなかった。だから家のやつらには迷惑をかけたよ」と振り返る。

特に献身的に看病してくれた夫人に感謝の言葉を並べた。「飯も俺だけに塩を抜いたおかゆや豆腐の料理を作ってくれたり。夜も同じ部屋で寝てくれた。とにかく横にいてくれることが本当にありがたかった」

珍しくいい話を口にした暴走男は最後に「まあそれで7キロやせて、腹もへこんだから。それがよかったのかもな、ガハハ!」と豪快に笑った。内助の功で手にした勲章を手に、再び3冠&世界タッグの「5冠王」に返り咲く。

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