IOC前会長ジャック・ロゲ氏死去 8年前の五輪招致「トーキョー」で話題

ジャック・ロゲ氏(ロイター)

「トーキョー」から間もなく8年…。2020年五輪・パラリンピック(21年に延期開催)の東京招致が決まった当時の国際オリンピック委員会(IOC)会長だったジャック・ロゲ氏が79歳で死去した。IOCが公式サイトなどで29日に伝えた。詳細は明らかにしていない。

ベルギー出身のロゲ氏は01年、IOCに長年君臨したフアン・アントニオ・サマランチ氏から8代目となる会長職を引き継ぎ、トーマス・バッハ現会長が選出された13年9月のIOC総会まで務めた。ブエノスアイレスで開かれたこの総会で、ロゲ氏は「TOKYO 2020」の書面を掲げて「トーキョー」と20年オリパラ開催地をアナウンス。9月7日(日本時間8日)で、あれから8年となるところだった。

元整形外科医のロゲ氏はヨット(セーリング)の選手として1968年メキシコ大会から3大会連続で五輪に出場。ラグビーの同国代表でもプレーした経験は、日本のラグビー関係者に注目された。

在任中のIOCは肥大化する夏季五輪において野球、ソフトボールの除外(05年)、ラグビー7人制とゴルフの採用(09年)を決めるなど、実施競技の見直しに取り組んだ。日本のお家芸・レスリングの女子種目が新採用された01年には、直前に開催された水泳世界選手権の福岡大会を視察に訪れたロゲ氏に日本のレスリング関係者が働きかけ、ダメ押しした。

くしくも29日、ブエノスアイレスでのプレゼンテーションで震災とスポーツの力についてスピーチを行い、東京大会招致成功の立役者となった谷真海(当時佐藤姓)が東京パラリンピックのトライアスロン女子(運動機能障害PTS5)に出場し、10位で笑顔のゴールを遂げた。

会長退任後は名誉会長に就いていたロゲ氏。バッハ会長は「スポーツを愛し、選手とともにあった」と前任者をたたえるコメントを寄せた。

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