コロナ患者受け入れの「松本病院」(大阪市福島区)運営の医療法人友愛会が民事再生

友愛会運営の「松本病院」(TSR撮影)

 (医)友愛会(社団)(TSR企業コード:570270740、法人番号:2120005005699、大阪市福島区海老江2-1-36、設立1955(昭和30)年8月、理事長:松本直彦氏、従業員175名)は8月26日、大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。申請代理人は坂川雄一弁護士(はばたき綜合法律事務所、同市北区西天満4-8-17、電話06-6363-7800)ほか3名。監督委員には阿多博文弁護士(弁護士法人興和法律事務所、同市中央区高麗橋3-1-14、電話06-4707-6206)が選任された。
 負債総額は約52億円。

 1938年創業の総合病院。大阪市福島区の救急医療機関に指定され、完全24時間体制の「松本病院」を運営。外科、内科、整形外科、脳神経外科等を診療科目とし、80年を超える業歴のなかで地域医療に貢献してきた。
 しかし、近隣は複数の医療機関が所在する激戦区で、採算性は低調に推移。また、先端医療設備への資金負担が重く、借入依存度の高い経営となっていた。

 このため、一時は整理回収機構へ債権が譲渡される事態となったが、2013年5月、現在のメインバンクに債権が再度譲渡され、再生支援が決定。これを受けて2015年10月には耐震問題を抱えていた1号棟の改築など積極的な設備投資を実施した。
 その後も設備投資の負担から外部資金に依存した状況が続くなか、2021年3月期の売上高は24億2319万円にとどまり、金融機関にリスケジュールを要請するなどして立て直しに取り組んでいた。また、2021年1月20日には一部病床での軽症、中等症の新型コロナウイルス患者の受け入れ開始を決定していた。
 こうしたなか、支援事業者(スポンサー)との間で事業譲渡に向けた基本合意を締結し、民事再生法の適用申請に踏み切った。今後は病院機能を維持し、事業支援者に事業を譲渡して円滑な事業再生を目指すとしている。

 なお、友愛会は28日、ホームページ上で「新型コロナウイルス感染症の患者受け入れが経営を圧迫した事実はない」と表明している。

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