ニューロティカ - ロックバカの信念を貫く魂こがした"心燃会"、2022年新年に日本武道館で堂々の開催!

思いがけず実現してしまった武道館公演

──ぶっちゃけ、武道館のチケットは今どれくらい売れているんですか。

ナボ:1,000枚ちょっとじゃないかな? 1月に発表してからずっと横ばいで全然伸びてない。減らないだけっていう(笑)。

──ちなみにキャパ設定は?

ナボ:今度ミーティングして決めるんだよ。

リョウ:5,000枚以上は売れないって言われた気がしますけど。

ナボ:コロナの影響で? 人気がないからとかじゃなくて?(笑)

──そもそも武道館でライブをやる話はどこから出てきたんですか。

ナボ:まだジェームス(2019年12月卒業)がいた頃に吉本(よしもとミュージック)の人と「武道館を目指そうか?」って話になったんだよね。そのときは吉本のマネージャーみたいな人のほうが乗り気で、俺たちはそこまでじゃなかった気がする。

カタル:話に現実味が全くなかったからね。実際やるにしても、その間に過程があるもんだろうと思ったし。

ナボ:ホールツアーを回ったり、段階を踏んだ後に武道館にたどり着くみたいなね。そんな話をしてるうちにコロナ禍になっちゃって、ちょうどその頃、吉本からは年内で離れてまた自分たちだけでやっていこうって話をメンバー内でしてて。ただその時点ではすでにディスクガレージやエイティーフィールドが武道館の申し込みをしてて、去年の秋に「武道館が取れました!」って突然言われてさ。吉本から離れるのを決めた後に(笑)。

カタル:「武道館に申請しますか? しませんか?」と訊かれたときは、まあ申請するだけなら…みたいな感じで全然現実味がなかったんだけど、いざ申請したら通っちゃったみたいで。僕らもエッ、通ったの!? って感じで(笑)。

ナボ:抽選だけかと思ったら、ちゃんと審査もあったみたいでね。それで「じゃあやろうか」ってことになって。

リョウ:まさに「やれるもんならやってみろ!」(新宿LOFT出演300回カウントダウンシリーズのタイトル)ですよね(笑)。

ナボ:後日、吉本の人に「武道館やります」と伝えたら「やめたほうがいいんじゃない?」って逆に言われたけど(笑)。

──あっちゃんも武道館でやれるとは思ってもみなかったんですか。

アツシ:そうだね。でも吉本さんと「武道館を目指しましょう!」ってタッグを組んで、チーム一丸となって向かっていたのは事実。

リョウ:俺への再加入の誘い文句は「いま武道館を狙ってるから」でしたから(笑)。

ナボ:ジェームスがやめるのは随分前から決まってて、でもこの時期にやめてもらっちゃ困ると引き留めて年内までお願いしたわけ。その間にリョウ君にはまた一緒にやらないかと話をしてたんだよね。

リョウ:俺も以前とは状況が変わってて、すぐに返事はできなかったんですけど、何とかその意気に応えたくて。

カタル:リョウ君の復帰第1弾の仕事は『唐人街探偵 東京MISSION』っていう中国の映画だったよね。

ナボ:4人で元コマ劇の近くで撮ったやつね。まだジェームスがいるときだったんだけど。

カタル:映画の公開がリョウ君の復帰後だったから、撮影はリョウ君じゃないとおかしいってことでね。

リョウ:繰り上げ当選みたいな感じですね(笑)。

──日本武道館といえば言わずもがなロックの殿堂としても知られますが、武道館でライブを観たアーティストでとりわけ印象に残っているのは洋邦問わずどんな面々でしょう? あっちゃんはやはりARBですか。

アツシ:一番最初に観たのがARBで、その後にCOBRAだったかな。あとはやっぱり友達のバンドだね。ピーズ、怒髪天、コレクターズ、フラカン…友達が武道館でできるんだ、すごいな! って。友達ができるんだから自分にもできるとは思わなかったけど。

カタル:そこは俺もできると思わないと(笑)。僕は武道館といえばデヴィッド・ボウイかエアロスミスか…いずれにせよ最初は外タレですよね。

リョウ:俺も最初は外タレだったと思うんですけど、もう覚えてないですね。

ナボ:俺は10回も行ってないと思うな、武道館は。外タレが多かったと思うけど。

カタル:フラカンとか同世代のライブももちろん観に行ったけど、矢沢永吉さんのライブは印象深いかな。

アツシ:永ちゃんは観てないな。観たのはベイビーレイズとかLa'cryma Christiとか…。

ナボ:俺的にはアイドルとかがやり始めてちょっと感じが変わったっていうか。LOFTとかもそうなんだけど、アイドルが出始めて自分の中でちょっと感覚が変わったよね。“バンドの居場所”って感じではなくなった。

──なるほど。そんな武道館公演に向けて、今年のニューロティカは精力的にライブを積み重ねて過密スケジュールをこなしているように思えますが。

ナボ:まあいつも通りのペースだけどね。

リョウ:でもこのコロナ禍ではだいぶライブをやってるほうじゃないですか?

ナボ:コロナ禍でライブをやらないほうがいいと言う人もいるし、地方へ行っても人が入らないからやってもあまり意味がないとか言われるけど、ライブは常にやってないとさ。っていうのも、2018年にZepp Tokyoで通算2,000本目のライブをやったじゃない? あのあと半年くらいライブをやらなくて、復帰一発目がもうしょうもないライブだったんだよ。会場の問題とかいろんな要因があったんだろうけど、ライブをやらなすぎるのは全然ダメなんだなっていうのが俺の中ではあって。

──単純にライブをやれないストレスもありましたよね?

ナボ:ストレスはすごいあったと思う。でもいざライブをやれてもいい形にできなかったし、やっぱり休んだままだとダメなんだよ。俺のドラムもそうだけど、あっちゃんは特にずっと唄ってないとダメになっちゃうんじゃないかな。

アツシ:うん。ライブはもちろんずっとやってるほうがいいよね。

──これまでずっとライブありきの生活だったわけだし、ライブをやらないとバイオリズムが悪くなりそうな気もしますし。

ナボ:だから去年、コロナになってライブが全然できないときもなんとか配信でやったりして、ライブはできるだけやろうとしたよね。

“武道館バトン”を自分たちから無理やり取りに行った

──ニューロティカのように生粋のライブバンドは、無観客の配信ライブはかなりやりづらかったんじゃないかと思いますがいかがでした?

カタル:でも、心配だったのは最初だけだったよね?

リョウ:2回目はもうすんなりやれましたね。

カタル:すぐに慣れたよね。ロティカって意外と順応性があるんだなって我ながら思った。あっちゃんもお客さんがいないとダメなのかな? と最初は心配してたんですけど、意外とそうじゃなくてあっちゃんすごいなと思ったし。

ナボ:配信でもチャットで反応があるのが良かったね。曲が終わるたびにお客さんのコメントを見たりして、やっぱりそういう反応が欲しいんだよ。全く反応がないとつらいと思う。だからお客さんに録音してもらった声援を募集して、「アンコール!」とかの歓声を自分で作ったりもした。ドリフのコントみたいに笑い声を作ってみたり(笑)。

リョウ:でもそれがあるだけでだいぶ違いますもんね。

ナボ:お客さんを入れたライブがやっとできても声が出せないからいろいろ考えたよね。紙鉄砲を作って配ったり、メガホンを物販で売ったり。

カタル:クリスマスには鈴を売ったりしてね。

ナボ:メガホンは1回目にすごい売れたんだけど、2回目は全然売れなくてね。いま機材車に在庫がいっぱいあるよ(笑)。

──さて、そんななか我が新宿LOFTの出演300回カウントダウンシリーズが始まりますが、200回を達成したのが2007年なので、あれから早14年が経過したことになるんですね。

アツシ:あのときはLOFT RECORDSからカバーアルバム(『GONG! GONG! ROCK'N ROLL SHOW!!』)を出させてもらったり…。

ナボ:おまけ付きのDVDボックス(『NEW ROTE'KA×LOFT 200』)もLOFT CINEMAに作ってもらったね。300回目も作ってもらわないと(笑)。

──この14年のあいだにさらに100回のライブをLOFTで敢行してきたことになりますね。

ナボ:そう考えると意外と伸びが少なかった気もするね。俺たちより多くやってるバンドいないの? STAR CLUBとか大丈夫?

──(笑)ニューロティカの通算300回が紛うことなき前人未到の大記録です。それにしてもこの300回カウントダウンシリーズは対バンが豪華ですね。ピーズ、コレクターズ、The Birthday、怒髪天、フラワーカンパニーズという錚々たる面子が揃って。

ナボ:ありがたいよね。周りに恵まれてるよ。

──ニューロティカよりも先に武道館でのライブを経験したバンドに声をかけたわけですよね。

カタル:そうですね。怒髪天、フラカン、コレクターズ、ピーズと引き継がれてきた武道館バトンがロティカに渡るということで。

ナボ:実際には誰もバトンを持ってきてくれなくて、こっちから無理やり取りに行ったんだけど(笑)。

リョウ:「すみません、バトンをください」って(笑)。

──でもこれだけのバンドが対バンに応じてくれるところにニューロティカの人徳ならぬバンド徳を実感せずにはいられませんけど。

ナボ:ホントだよね。The Birthdayはツアー中なのに引き受けてくれたし、怒髪天も『ドハツ(10・20)の日』の1カ月前なのにやってくれて。

──オフィシャルYouTubeチャンネルで怒髪天の「オトナノススメ」やフラワーカンパニーズの「この胸の中だけ」、コレクターズの「MILLION CROSSROADS ROCK」をカバーする企画は各バンドへのリスペクトが伝わるし、カバーでもニューロティカならではの持ち味が如実に感じられて面白いですね。

ナボ:頑張ってやってるけど、なかなか撮影と編集が追いつかなくてね。ピーズとの対バンが迫ってるのにまだ公開できてないし。(リョウに)まだギター入れてないでしょ?

リョウ:入れましたよ。歌がまだですよね?

アツシ:…………。

ナボ:ほら、何も知らない顔してるよ(笑)。[註:この取材の3日後に歌入れが完了したとのこと]

──カバーの選曲はどうやって決めているんですか。メンバーが好きな曲とか?

アツシ:向こうのバンドマンにお勧めの曲を聞いてます。「オトナノススメ」は増子(直純)ちゃんに聞いて。

ナボ:フラカンはカタルがグレート(マエカワ)に訊いたんだよね?

カタル:そうそう。「この胸の中だけ」は、前にフラカンと2マンをやったときに僕らがカバーしたことがあって、ぜひあれをもう一度聴きたいと言われて。ピーズははる君(大木温之)がお任せしますってことだったので、こちらでいろいろ考えて。

リョウ:俺は世代的にも下だし、カバーするバンドの曲はどれも全然知らなかったんですけど、カバーしてそれぞれのバンドのすごさを知るところはありましたね。

アツシ:僕はもうとにかく一生懸命唄うしかなくて……どの曲もすごく難しいので。なんでこんな僕にイジワルするの!? って感じで。

カタル:出た! イジワル発言(笑)。

ナボ:あっちゃんは被害妄想が強いからね。

アツシ:それは亜無亜危異のシゲル(仲野茂)さんから受け継いだLOFTの伝統だから。

ナボ:シゲルさんのほうがちゃんと唄ってるし、先輩のせいにしちゃダメだよ(笑)。

出演300回を記念してLOFTに銅像を建てたい

──カバーすることで学べることも多いのでは?

カタル:こないだコレクターズの曲をやって、こういうふうに曲を作ってるんだな、すごいなと思いましたよ。フラカンはシンプルな曲だけどリズムがすごく難しかったり、怒髪天は勢いがすごくて、あの勢いを出すのがかなり難しいのを知ったり。現時点でカバーした3曲それぞれに勉強になるところがありましたね。

リョウ:どの曲も“遊び”があるからギターでもいろいろできちゃうんですよ。ただ原曲のアドリブと思われるギターを忠実に弾くとつまらなくなるし、元に寄せつつ自分らしさも出すようにしてます。その匙加減が難しいですね。

ナボ:俺は映像の編集もしてるから、その辺はすごい楽しくやってるね。怒髪天もフラカンもコレクターズも原曲のMVを元ネタにして作ったんだけど、ピーズにはそれがないから悩んでる最中だね。元をもじるのはパロディの要素もあって面白いんだよ。コレクターズのカバーはコレクターズのファンの人が「カバーしてくれてありがとうございます」とコメントを書き込んでくれたりして嬉しいよね。それが武道館のチケット購買につながってくれたらありがたいんだけど(笑)。

リョウ:そこ、分かってもらえますかね?(笑)

ナボ:「ニューロティカを観たくなった」「武道館へ行きたくなった」までは来てると思うんだけどね。

カタル:ロティカが武道館でやるのは伝わってると思うんだけど、もうひと押しなんだよね。

ナボ:何とかならないかな? YouTubeを5回見たら武道館のチケットを買ってたとか。

──それじゃ課金詐欺ですよ(笑)。でも3年前にやったZepp Tokyoも最初は動員が心配だったものの、蓋を開ければ大入りだったじゃないですか。

ナボ:Zeppと武道館じゃ規模が違うからなあ…。

──10月から年末にかけては『ニューロティカから皆様へ最後のお願い(仮)』というツアーも行なわれるし、武道館をアピールする機会はまだまだあるじゃないですか。

カタル:もはや選挙活動みたいなものだよね(笑)。

リョウ:自分としてはやっとこれだけのライブをやれるようになったか、って感じですね。ロティカといえばこの忙しい感じが当たり前だったし、スケジュール的にはこれが通常営業っていうか。

ナボ:ひたすらライブハウスでやり続けていきなり武道館に行くのが俺たちらしいよね。Zeppやホールを何回かやってから行くわけじゃないから。

──RooftopはLOFTの媒体なのでLOFT出演300回についてもう少し焦点を当てたいんですけど、1985年9月3日のLOFT初出演(共演はPOGOとANTI)から36年3カ月という歳月をかけて300回出演を達成することについて、あっちゃんにはどんな感慨があるんでしょう?

アツシ:300回、すごいよね。

──そんな他人事みたいに(笑)。

アツシ:愛してやまない新宿LOFTなので、光栄ですよ。これでちょっとは日本のロックの歴史に名を残せるかな、って……。

ナボ:あっちゃんは「LOFTに銅像を作りたい」っていつも言ってるよね。オーナーの(平野)悠さんを差し置いて(笑)。

──じゃあ、月に何回かはハナ肇みたいに銅像に扮してもらいますか(笑)。

リョウ:でもそれくらいの偉業を成し遂げるってことですよね。

アツシ:300回のライブに加えていろんな打ち上げにも参加してきたからね。LOFTへ通い詰めた回数を正確に数えたらとんでもない回数になるよ。

──ニューロティカがLOFTに初出演した1985年には、カタルさんとナボさんはもうバンドを始めていたんですか。

カタル:やってましたね。その頃はLOODSかな。当時はニューロティカのことを「楽しそうなバンドだな」と思ってました。当時にしては珍しい、笑いのあるパンクバンドだから注目してたし、一緒にツアーにも行きましたね。

ナボ:俺はロティカと対バンはなかったけど、あっちゃんよりも先にLOFTに出てたよ。シゲちゃん(LOFT社長だった小林茂明)と仲良かったから、シゲちゃんのやってたBE-GOOD?とかと対バンしてた。ちょうどシゲちゃんがバイトから店長になったくらいのときにロティカを紹介してもらって、そこでSHONと会ったのかな。だけどお互い全然違うところで活動してたし、俺は俺で「LOFTは自分の店」みたいな感覚があったから、ロティカのことは「なんだあいつら?!」くらいに思ってた(笑)。シゲちゃんには「あいつら売れてるんだからお前も売れなきゃダメだよ」なんて言われてたけどね。

カタル:もともとあっちゃんがLOFTを好きになったのは、やっぱりARBの影響だよね?

アツシ:そうだね。LOFTでARBを観て自分でもバンドをやりたいと思うようになって、LOFTに通うようになったらスタッフもめちゃくちゃ楽しいし、LOFTへ行けば楽しいことだらけだったんですよ。

ナボ:もちろんライブもやったけど、俺には飲みに行く所だったから、LOFTは。

リョウ:当時はそういう場だったんですよね?

ナボ:バーがあったしね。ライブが終わってそこにいる女の子をナンパしてバーで飲むのが定番コースだったから(笑)。

リョウ:俺はそういう文化がなかったし、西新宿にあった頃のLOFTは中学の頃から憧れでしたね。俺はパンクスでもなかったので、ニューロティカは遥か遠い彼方の存在だったっていうか。

ナボ:でも『ロックンロールオリンピック』でニューロティカを観たんでしょ?

リョウ:はい、地元が仙台なので。中1のときにジュンスカ目当てで観に行ったら、なんかボーカルがピエロの変わったバンドがいるなあと思って(笑)。それが野外フェス初体験ですごく楽しかったから、翌年も友達と観に行ったんですよ。そしたらまたピエロの格好をしたボーカルのバンドが出てて、何だろう、このバンド…っていうのが最初の印象です。興味を持ちたくはなかったけど(笑)、そこでニューロティカってバンドを知ることになったんですよね。自分でもバンドをやるようになったら仙台のライブハウスに必ずニューロティカのポスターが貼ってあったし、長くやり続けてるすごいバンドなんだなと思ってました。

ARBのLOFTでのライブで対バンに指名されたのが嬉しかった

──LOFTでやったライブでとりわけ印象深いものは何でしょう? 数がありすぎて挙げられないだろうし、パッと思いつくもので結構なので。

カタル:僕とナボちゃんがロティカに入って最初にライブをやったのはLOFT?

アツシ:うん。KEITHのバンドとマリさんのJACKSのライブにゲストで出た時。

──1996年2月24日、『晴者II』発売記念ライブですね。

カタル:その前の年の12月、前のメンバーでやったロティカ最後のライブを僕は観に行ったんですよ。そこで前のメンバーと話してたら僕がロティカに入ることを感づかれたっていう。内緒で観に行って「久しぶり」なんて話してたんだけど、バレちゃったんです。

──前のメンバーの活動期間は11年、カタルさんとナボさんは加入して25年経つから前のメンバーの倍以上の在籍年数になるんですね。

ナボ:25年かあ…そのあいだに売れて解散したバンドがけっこういるよね(笑)。

リョウ:普通のバンドはLOFTで300回もやらないんですよ。300回やる前に売れるかやめちゃうんだから。だから最初は「ニューロティカがLOFTで300回? すごいな!」と思ったけど、ちょっと冷静に考えてみればその前に売れてたら300回もやる必要がないんです(笑)。

ナボ:その意見は鋭いね。俺たちは気づかなかった(笑)。

──LOFTの立場で言うと、ニューロティカは何度かブレイクしても必ずLOFTへ帰ってきてくれるから感謝しかないのですが。

ナボ:戻りやすい所にしか行ってないからね(笑)。

カタル:でも29歳でロティカに加入してからまたしょっちゅうLOFTに出られるようになったのは嬉しかったな。LOODSの頃はちょくちょく出させてもらってたけど、LOODSが終わってからはなかなか出られない時期があったので。

ナボ:それまではLOFTに簡単に出られたけど、急に出れなくなった時期があったね。シゲちゃんが店長になったちょっと後くらいかな、「客が入らないからダメだ」とか言われるようになって。ずっと夜の部でやってたのに昼の部に回されたり。まあ、LOFTもちゃんとした店になりつつあったのかな。俺とカタルがやってたHELLOWSもそんなにLOFTに出てなかったっけ?

カタル:数える程度だね。代チョコとかヘヴンズドアのほうが多かった。西新宿LOFTの最後の日もロティカが出たよね? 外でみんなとワーッと騒いでたのを覚えてる。

アツシ:あれはタダ酒を飲みに行っただけじゃないかな。

──そうですね。西新宿最後の日(1999年3月17日)は特定のライブをやらず、バンドマンでもお客さんでも誰でも入れるパーティーにしたんです。バンドマンが入れ替わり立ち替わりでステージに立ったりはしましたけど。

ナボ:高原(秀和)監督が映像に残してるよね(『SHINJUKU LOFT BOOTLEG 1999』)。俺はLOFTと言えば、ライブよりも便所とか裏の階段とかいけないことをする場所の記憶がすごいあるかな(笑)。あと、ちょっと下におりた厨房とかカウンター。そういうLOFTの景色が思い出深いね。

リョウ:俺はシズヲさんがラストの日(2013年2月7日)かな。俺が一緒に弾きたいと言ってシズヲさんとツインギターで1曲弾いたんですけど、そのときは自分が加入することは発表されてなかったので「誰だ!?」みたいな感じになって(笑)。あれは印象に残ってますね。これだけ多くの人の前で弾いていくことになるのかと思ったし。

──あっちゃんはさすがにこれ1本とは挙げられないと思いますが、いかがですか。

アツシ:今でも嬉しい記憶として思い出すのは、ARBが復活した後にやったライブハウスツアーでLOFTのオープニングアクトにニューロティカが選ばれたことですね(2003年6月21日、『ARB 25th Anniversary LIVE CIRCUIT IN KANTO』)。他でもないLOFTだったから。アンコールで「パントマイム」を一緒に唄ってくれと言われて、エッ、ここで「パントマイム」? 他にも代表曲があるんじゃない? と思ったけど(笑)、嬉しかったですね。それでまた「パントマイム」が好きになった思い出があります。でもなんで「パントマイム」だったんだろう? 僕がパントマイムをやると(石橋)凌さんが思ってたのかな?(笑)

──『新宿LOFT出演300回カウントダウンシリーズ』はどんな内容になる予定ですか。ニューロティカの37年に及ぶ歴史を凝縮したものになるとか?

ナボ:(アツシに)何かありますかね?

アツシ:……おう、見せてやるよ!

カタル:これは何も考えてないときのセリフだ(笑)。

──では、武道館でのメニューは?

ナボ:そろそろ決めていこうよ、くらいの時期。(おもむろにスティックケースを取り出して)このスティックケースは誰でももらえるやつでさ、底が破れてるのをガムテープで止めてあるの。武道館のライブはさすがにこれじゃまずいと思って買い替えようと思ってるんだけど、みんなが「買うな」って言うんだよ。これで武道館をやってくれって。今はまだそんな状態。

武道館でもいつものニューロティカを見せるのが一番だと思う

──あっちゃんの中で武道館のライブをこうしたいというビジョンはないんですか。

アツシ:ベスト・オブ・ニューロティカというか、みんなの好きなニューロティカの曲をやりたいね。

ナボ:武道館でライブをやるバンドの中ではかなりテンポが早いほうじゃないかな? 歳とったドラマーが何曲も早いドラムを叩くのは武道館アーティストでもなかなかないんじゃない?

アツシ:Zeppもそうだったけどね(笑)。

カタル:セットリストはそんなにひねらなくてもいいと思うし、いつものニューロティカを見せるのが一番だと思うんですよ。個人的にはどこまで動けるかというテーマがありますけどね。広いステージだけどいつも通りでいいじゃないか、そんなに大きく見せなくてもいいじゃないかと言ってくれる人もいる。だけど、ロティカは今まで狭い会場ながらも大きく見せてきたバンドだから、それと同じように武道館でもやりたいんです。その上でどこまで体がついていけるかなと思いますね。僕ももう55歳ですから。

ナボ:武道館でやるのが1月3日だし、『心燃会』と書いて“新年会”と読ませるから正月っぽいことをやりたいよね。あっちゃんが羽織袴の格好で出てきて「隅から隅までずずずいっと、乞い願いあげ奉りまする!」って挨拶してさ。スポットライトを浴びながら。あとはかくし芸的なことをやってほしいんだけど、それをどうやって見せればいんだろうかとずっと悩んでる。映像を入れるとお金がかかっちゃうしね。でも新年会っぽい面白いことは絶対にやりたいよね。

リョウ:俺は3人の先輩たちを後押しするような気持ちでいるんですけど。

ナボ:おお、それは頼もしいね。

リョウ:俺は人生であと1回くらいは武道館でやれる気がするけど、3人はこれが最初で最後だと思うので(笑)。先輩たちの貴重な1回を全力で後押しします(笑)。

ナボ:戦場で倒れた老兵3人を助けあげるみたいな(笑)。

リョウ:あっちゃんが緊張しないように、ステージをLOFTの市松模様にしてみたり。

──ああ、それはぜひお願いしたいです!

ナボ:それ、誰からも言われるよ。そのためにLOFTから寄付してもらおうかな、宣伝費として(笑)。

──カタルさんの言うように奇をてらうことなく、いつも通りのニューロティカを見せるのがニューロティカらしいのかもしれませんね。特効や映像を使うのはなんか違う気もしますし。

リョウ:その辺の話はこれからですよね。武道館ってバンドが目指すべき場所じゃないですか。だけど俺らの場合は別に目指してたわけでもなく、あれ? やれちゃうの?! みたいな感じだから(笑)、ヘンに気負いもないんですよ。

ナボ:吉本の人と話してたときは全然ピンとこなかったのに、「取れちゃいました」と聞いた途端に「じゃあやっちゃう?」って急にやりたくなっちゃったからね(笑)。

──そういう瓢箪から駒的なところもニューロティカらしくていいと思います。

ナボ:今年は武道館に向けていっぱいライブをやってるけど、ライブ1回につき一度以上は必ずあっちゃんが間違えてるの。曲順を間違えたり、歌詞を間違えたり。それが武道館で間違いゼロでいけるかな? と思うよね。

アツシ:…………。

カタル:あっちゃんの間違いカウンターを作ろうか?

ナボ:それか返金制にするとかね。歌詞を間違えるたびにお客さんにキャッシュバックしてみたり。

──それじゃ売上が残らない可能性大ですよ(笑)。

ナボ:とにかく間違えても笑える方向にしたいんだけど、その方法も考えてるところだね。

アツシ:武道館はやることに意義があるんだよ。ニューロティカのWikipediaに「2022年1月3日、武道館ライブを開催」って書くために(笑)。それでいいんだよって増子ちゃんが言ってた(笑)。STAR CLUBのヒカゲさんにはこないだ名古屋でやったパンクフェス(『BASEMENT UNLAWFUL ASSEMBLY 2021』)で「この時期に武道館を選んだニューロティカはすごいな! コロナのせいで客が入らなくてもいいんだもんな!」って言われたけど(笑)。

ナボ:武道館の次の日はLOFTで後夜祭をやるんだけど、武道館をやってもまた普通にライブハウスでやってそうだよね。上に行かないのかい?! って(笑)。武道館をやることでワンステップ上の仕事ができればいいなと思うんだけど。

──武道館の後、結成40周年まであと2年ありますから、何とか話題に事欠かない活動展開を期待しております。

ナボ:そういうことを考えるとあっちゃんの髪がまた薄くなっちゃうからね。一時期は増えてたのに、最近また減ってきたから(笑)。

アツシ:ネタに困ったらまたLOFTに行くよ(笑)。

リョウ:武道館以降は、本来武道館まで通るべきだったホールとかでライブをやればいいんじゃないですか? 階段を登っていくんじゃなく、逆に降りていく感じで。

カタル:それで最後は結局LOFTへ戻るっていう(笑)。まあそれもロティカらしくていいかもしれないけどね。

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