コロナ患者の治療で「命の選別」を懸念 障がい者団体が県に緊急要望

 新型コロナウイルスの感染拡大で、沖縄県の専門家会議で患者の治療の優先順位を決める「トリアージ」に関する意見があったことについて、県自立生活センター・イルカと県精神保健福祉会連合会は30日、障がいを理由とした命の選別が行われないことや聴覚や視覚、知的障がい者らにも分かりやすい情報提供などを求める緊急要望を県に提出した。県知事と県議会議長宛て。

 要望書では「優生思想につながる障がいを理由とした命の選別が推進されることがないようにしてほしい」と求めた。このほか県に対し、精神科病院や入所施設でのクラスター(感染者集団)の原因公表、手話や字幕、音声対応の活用と知的障がい者などにも分かりやすい情報提供など、計11項目を要望した。

 30日のオンライン会見でイルカの長位鈴子代表は県内精神科病院や障がい者施設、高齢者施設で発生したクラスターに関わる、公文書の開示請求を行っているとし「私たちは介助を24時間使いながら、感染者が発生しないよう神経をピリピリさせて生活している。文書を基にどう感染を防ぐかを考えたい」と話した。

 県手をつなぐ育成会の田中寛理事長は「知的障がい者の場合、ワクチンを打つ打たないを家族が判断することが多く、中には家族の意思で受けられない人もいる」と説明。「病院や入所施設でしか介護できない人や、知的障がい者の感染を想定した施設・体制の確保を切にお願いしたい」と語った。

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