大混戦のセを制するのは!? 首位巨人と2位ヤクルト、専門家が語る優勝への「鍵」は…

ヤクルト・高津監督(左)と巨人・原監督【写真:荒川祐史】

野口寿浩氏「原監督得意の継投がポイントになる気がします」

29日の中日戦に勝ち、4月1日以来150日ぶりに首位に立った巨人と、0.5ゲーム差の2位につけるヤクルト。両チームは31日から首位攻防3連戦を戦うが、それぞれ優勝を手にするための鍵はどこにあるのだろうか(成績は全て8月29日終了時点)。

巨人首脳陣が何より待ち焦がれているのはエースの復調だろう。菅野智之投手は56日ぶりの1軍登板となった25日の広島戦で6回5失点で今季5敗目(2勝)。完全復活とはいかなかった。

「それでも、山口、戸郷、高橋と先発の頭数はそろっている。試合の中では原監督得意の“マシンガン継投”がポイントになる気がします。高梨、大江、鍵谷ら中継ぎは豊富。故障が癒えて支配下選手に復帰した鍬原も今後ここに加わってくる可能性があります」

こう指摘するのは、現役時代にヤクルト、阪神など4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏。やや不安を抱える先発陣を、球界きっての実績を誇る指揮官が早めの継投でフォローすることになるか。

野手ではトレードで日本ハムから加入した中田翔内野手が打率.118(17打数2安打)と存在感を示せていない。キーマンは「なんと言っても4番の岡本です。彼がどれだけ勝利を決定付ける一打を打てるか。そのためには岡本の前を打つ打者の出塁もポイントです」と野口氏は見ている。岡本は32本塁打&88打点でリーグ2部門トップを走り、打率も.283と上昇傾向。ただ、丸佳浩外野手の状態が上がらず、前を打つ3番が流動的になっているのが気がかりだ。

燕の懸念材料は救援陣「石山の復調にかかっていると思います」

一方、野口氏の古巣でもあるヤクルトの好調ぶりは「新外国人2人が“当たった”効果が一番大きい。打線の破壊力が増しました」。ホセ・オスナ内野手は打率.299、ドミンゴ・サンタナ外野手も.275と好調をキープしている。

投手陣では、原樹理投手が29日のDeNA戦に先発し、今季初勝利を挙げたのは明るい材料。しかし、野口氏は「中継ぎの今野あたりに負担がかかり過ぎている(今季40試合登板)。それほどの登板数をこなした経験がないだけに、どこまで持ってくれるかという不安はあります。抑えを務めているマクガフもポカの多い投手で、本来は抑え向きではない」と懸念材料をあげる。

そこで、“キーマン”に挙げたのが石山。「やはり昨季まで守護神を務めていた石山(今季防御率5.35)の復調にかかっていると思います」と言う。

阪神を含めた“3強”が激しい首位争いを展開する今年のセ・リーグ。ペナントレースはいよいよ終盤を迎えるが、まだまだ波乱含みだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2