国内初! 民間資金を活用したSIB方式による再犯防止分野での学習支援事業が始動

~KUMONが参加する事業体が法務省委託事業を受託~

2021年8月31日
株式会社 公文教育研究会/株式会社 キズキ/一般社団法人 もふもふネット

株式会社公文教育研究会(代表取締役社長:池上秀徳〔いけがみひでのり〕、以下KUMON)を代表事業者とする事業体が、法務省が行う、少年院出院者への再犯・再非行の防止の実現を目指した学習支援事業に採択されました。この事業は、民間資金を活用した成果連動型民間委託契約方式を採用。国の直轄事業である再犯防止分野において初めてSIB(Social Impact Bond)の手法を活用した新たな官民連携の仕組みを目指す先進的な取り組みです。

事業体は、KUMON、株式会社キズキ(代表取締役社長:安田祐輔)、一般社団法人もふもふネット(代表理事:藤岡淳子)により構成。資金提供者である株式会社三井住友銀行、株式会社日本政策投資銀行、株式会社CAMPFIREによる、クラウドファンディングを含めた多彩な資金調達を受け、KUMONの学習コンテンツ、キズキの寄り添い型学習支援、もふもふネットの心理面や生活支援といった、各事業者の強みを活かした学習支援事業を推進していきます。

【全体スキーム図と役割分担】

【成果指標(プロセス指標・アウトカム指標)】

SIB(Social Impact Bond)とは2010年にイギリスで開発された官民連携の社会的投資モデルで、社会課題を解決するサービスに、投資家が資金を提供してプログラムを実施し、削減された財政支出など、事業成果に応じて、自治体等が投資家へ成果報酬を支払う仕組みです。本事業ではプロセス指標とアウトカム指標の達成度合いに応じて、法務省から事業者に成果報酬が支払われます。

【学習支援と生活支援を組み合わせたサポート体制】

令和元年に保護観察が終了した少年院仮退院者の再処分率は、学生・生徒の者が11.8%に対し、無職の者は41.5%に上ります(令和2年版犯罪白書)。このことから、少年院出院後の学習支援は、再犯・再非行の防止に有用であると考えられていますが、一貫性を持った継続的な学習支援の難しさがありました。本事業では対象者が事業終了後にも継続的に自立して学習できるための基礎学力及び学習習慣をつけることを目指し、対象者の個別の目標達成に向けた寄り添い支援(個別の目標に応じた学習支援を含む)を含めた学習支援を行います。また、学習を支える対象者の生活基盤を整えるために、専門家による本人・保護者支援等を含めた生活支援を組み合わせることで、より強力なサポート体制を組んでいきます。KUMONの学習コンテンツ、キズキの寄り添い型学習支援、もふもふネットの心理面や生活支援と、各事業者の強みを活かしたプログラムを提供します。

【多彩な資金調達の仕組み】

本事業は国が主体となる本格的なSIB事業において、多様なステークホルダーとリスクシェアを行う先例となるため、複数の調達形態を組み合わせた資金調達スキームを構築しています。

【事業概要詳細】

今回採択された事業はSIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)の手法を活用し、少年院に在院している少年のうち、学習意欲のある者について、少年院在院中に学習支援計画を策定し、その出院後に継続的な学習支援を実施し、対象者の再犯・再非行の防止を目指すもので、①国によるSIB事業のパイロット実施、②学習支援を通じた新たな再犯・再非行防止対策の実施という点において、新たな取り組みとなっています。

【事業スケジュール】

<参考情報>

◆各社情報<事業体>

・株式会社公文教育研究会 https://www.kumon.ne.jp/

教育実践を重ねる教育サービス企業(1958年創立)で、2021年3月末現在、世界50を超える国と地域で372万の学習者(全教科合計学習者数)に公文式学習を提供。国内外でのフランチャイズ教室展開による事業に加え、パートナーとの業務提携や学校・施設への公文式導入という形で公文式を活用していただくライセンス事業も展開。1977年より「少年院への公文式導入」の実績もあり、2021年3月現在、4か所で導入されている。

また、早くからSIB事業の可能性に着目し、2015年度の経済産業省「SIB調査事業」への参画を皮切りに、2017年に奈良県天理市で「成果連動型事業による認知症施策」、2018年に厚生労働省「認知症施策における民間活力を活用した課題解決スキーム等の官民連携モデルに関する調査研究事業」への参画、2019年からは3か年で天理市・福岡県大川市との成果連動型民間委託事業に取り組んでいる。

・株式会社キズキ https://kizuki-corp.com/

2011年創業以来、不登校や高校中退等の困難を経験した子ども・若者を一貫して支援してきた。現在は、首都圏・関西圏に計8教室を設け、現在(2021年8月時点で)生徒総数は約600名、支援した卒業生は累計約3,000名、相談件数は累計8,000名を超え、不登校・中退の方向けの学習支援機関としては全国屈指の規模。また、全国13の自治体からの委託事業(主に生活困窮家庭の学習支援)や、うつ病と発達障害の方に特化した就労移行支援事業所の運営(都内2か所)など、生活困窮や精神保健分野で様々な事業を展開。寄り添い型の学習支援の強みを生かし、2019年少年院支援事業部を設置。これまで交野女子学院などの少年院で学習支援(高卒認定試験、復学や進学に向けた学習支援)に取り組んできた(一部NPO法人キズキとして実施)

・一般社団法人もふもふネット https://mofumofunet.jimdo.com/

人々が非行・犯罪・暴力の悪影響を受けることを低減させることを活動の目標に、グループワーク等の活動を中心に2013年にスタート。非行・犯罪行動を持つ者に対する支援と指導の専門的技術によって、多くのプログラム参加者の心情の安定や価値観・態度を向社会的に向けることに成功している。また加害者・被害者本人だけでなく、家族を支援するノウハウによって、多くの家族を支えてきた。非行・犯罪領域における回復を支援する専門家の育成および司法臨床の質向上の観点において、研修の実施やスーパービジョンなど、指導的・主導的役割を担っている。