【高校発みやざきSDGs】ー27ー佐土原(下) 工業技術で課題解決

 

補助輪、スマホモニター、後方センサーを備えた車いすを製作した生徒たち

工業高校には学んだ技術や技能を基に、身の回りの課題を工業技術で解決する授業がある。今回、4人の女子生徒が「校内用バリアフリーマップ」と「自走用多機能車いす」の製作に取り組んだ。
 課題設定には悩んだが、困った人に役立つものの製作がSDGsのゴールにかなうと考え、挑戦した。家庭科での車いす試乗体験時に、移動しやすい道順を選ぶには校内の段差やスロープ、エレベーターの位置の把握が重要だと分かった。そこで、まずパソコンにあらかじめ取り込んだ校内地図に段差等の場所が分かるボタンを配置し、クリックするとその場所の写真が表示され、状況確認や道順決定に役立つマップを製作した。
 次に、車いすの利用者の改善要望をインターネット等で調べ、より利用しやすいよう改良に取り組んだ。具体的には、前輪が溝にはまった時に抜け出すことに苦労した体験や、バックする時に後方が見えず不安だとの声があったことに着目。前輪が完全に落ち込まないような「補助輪」、スマートフォンを利用した「バックモニター」、障害物への接近を知らせる「ソナー機能」を車いすに取り付けた。マイコンを用いた距離計測や音制御、3Dプリンターによるパーツ作りなど、自分たちで調べ、周囲の協力を得ながら部品を一から作る作業は、ものづくりを基本とする工業高校ならではの取り組みだ。
 本校はこれからも、「人ありて技術」の精神の下、人に優しく思いやりを持ち、安全なものづくりに努力する生徒の育成に取り組んでいきたい。(教諭・松本幸一郎)

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