日本列島ゆるゆる古墳ハント(30)「はに丸タワー」が目玉!古墳体験が楽しい、茨城県水戸市「牛伏古墳群」と「くれふしの里古墳公園」

「旅チャンネル」の企画で世界一周を2回経験した、古墳を愛するイラストレーター・マンガ家の水谷さるころが、これまで訪れた日本各地の古墳の魅力を紹介します。今回は、茨城県水戸市の「牛伏古墳群」と「くれふしの里古墳公園」です。

牛伏4号墳

※コロナ禍なので実際はマスクをしていますが、マンガでは人物のマスクは省略しています

牛伏(うしぶし)古墳群は前方後円墳6基、帆立貝形前方後円墳1基、円墳9基の計16基もの古墳から構成されており、300m×200mの狭い範囲の中に多数の前方後円墳が集中する、珍しい古墳群です。

この古墳群がまるっとそのまま公園になっています。くれふしの里古墳公園の名前は『常陸国風土記』に出てくる晡時臥山(くれふしやま)の神話に由来しています。

牛伏古墳群の大きさは、一番大きいのが17号墳で60m、2番めが4号墳で52mです。2号墳と3号墳が40m以上あり、6号墳と9号墳が30m以上、1、5、10号墳が20m以上あります。残りは20m以下の小規模な古墳になります。

墳頂から見た牛伏4号墳

円筒埴輪で飾られて復元整備されている4号墳だけが正式に発掘調査されていて、横穴式石室から古墳時代後期の6世紀後半頃の築造だとされています。ほかの古墳の築造年代ははっきりしていません。4号墳は乱堀を受けており、全ての石材が抜き取られていました。なので、副葬品はあまり発掘できなかったようです。

そういった事情もあってか、発掘品を展示するような歴史資料館は牛伏古墳群にはありません。ですが、くれふしの里古墳公園の魅力は「体験型」です。古墳と思う存分触れ合うことができます。

はに丸タワー

そして、なんといっても目玉はシンボルの「はに丸タワー」です。日本一の高さの「埴輪型タワー」ということですが、確かに、ほかに「埴輪型のタワー」ってあんまり見たことがありません。茨城県には、牛久市に世界最大のブロンズ製の仏像である「牛久大仏」がありますが、こちらのはに丸タワーもインパクトでは負けていません。このはに丸タワーのおかげで、一部で「珍スポット」としても有名になっています。

はに丸タワー内部

はに丸タワーは階段がついており、頭の天辺まで登ることができます。内部には宇宙からのメッセージが届くという、巨大な埴輪の顔があるのですが、残念ながら故障中らしくメッセージを受け取ることはできませんでした。そのほかに「サウンドパイプ」という、筒を通して音が聞こえる仕掛けがあり、塔の上部と地面近くの場所で会話ができるようになっていました。親子で上と下に分かれてお話できました。こちらの古墳公園は「学習」よりはワクワクするような体験型の施設です。

古代がモチーフの公園の施設

遊具コーナーも、トイレが竪穴式住居風だったり、水飲み場が水鳥の埴輪風だったりと、古代コンセプトになっています。子ども連れで古墳体験を満喫するのに、非常に居心地のよいスポットになっています。

今まで紹介した茨城の古墳(富士見塚古墳/三昧塚古墳/虎塚古墳)と比べても、家族連れがたくさん来ていました。古墳も魅力ですが、公園としての楽しさが際立っています。古墳ピクニックにも最適な公園ですね。

横に墓地が隣接している、牛伏3号墳

もちろん、円筒埴輪のある4号墳以外の古墳も非常にキレイに手入れされており、全てを見て回りました。印象的だったのが前方後円墳の横に墓地があることです。古墳の上にお墓があるのは“古墳あるある”ですが、古墳の横にもお墓はあるんですね。2号墳の墳頂には、お社が建てられていました。公園になる前から、牛伏古墳は地域の人たちに守られ、信仰の対象だったのだろうなと感じされられます。墓地やお社が残ったまま公園整備されているのも大変面白かったです。

牛伏2号墳は墳頂にお社が建っています

絶対行ってみたい古墳公園だったので、大変満足しました!茨城のドライブスポットとしてオススメです。

牛伏古墳群/くれふしの里古墳公園

住所:茨城県水戸市

[All Photos by Mizutani salucoro]

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