9人のアーティストが捉えた都市とは 大林コレクション展『都市と私のあいだ』

2021年9月25日(土)〜2022年2月13日(日)、現代アートのコレクターズミュージアム『WHAT MUSEUM(ワットミュージアム)』(東京都・品川)にて、大林コレクション展 3つの展示『安藤忠雄 描く』、『都市と私のあいだ』、『Self-History』が開催される。今回は、その中から『都市と私のあいだ』について紹介する。

『WHAT MUSEUM(ワットミュージアム)』とは

2020年12月、東京・天王洲にオープンした『WHAT MUSEUM(ワットミュージアム)』。「モノだけではなく、価値をお預かりする」という理念に基づき、ワイン・アート・メディア保管を軸に事業展開する寺田倉庫がアート作品を展示する芸術文化発信施設だ。

倉庫会社としての美術施設はどう在るべきかを模索し、たどり着いたのは「倉庫を開放、普段見られないアートを覗き見する」というユニークなコンセプトだった。作家の思いはもちろん、作品を収集するコレクターのこだわりを大切な作品とともに展示。アートとの出会いの場を創出している。

倉庫内で静かに光を放つ文化的価値を暗示した、WHAT(WAREHOUSE OF ART TERRADA)の名のもとに展示されるのは、平面や立体のアート作品をはじめ、建築模型、写真、映像、文学、インスタレーションの数々。多様な芸術文化を、倉庫会社ならではの美術館のかたちとして、新たな切り口で企画・展示を行っている。

【大林コレクション/大林剛郎(おおばやし たけお)氏について】
1954年東京都生まれ。公益財団法人大林財団理事長。国際芸術祭「あいち2022」組織委員会会長、ほか国内外の美術館評議員やインターナショナル・カウンシル・メンバーを務める。著書『都市は文化(アート)でよみがえる』(集英社、2019年)。

[寺田倉庫『WHAT MUSEUM』にて大林コレクション展『安藤忠雄 描く』開催 - dino.network | the premium web magazine for the Power People by Revolver,Inc.]

実在する都市とアーティストの「あいだ」に存在するもの

大林コレクション展「都市と私のあいだ」は、都市と、アーティストや私たちの「あいだ」に存在する、都市を形成するさまざまな要素(都市基盤・建築・インテリア・模型等)を被写体とし、9名のアーティストがそれぞれの視点で都市を捉えた写真作品を中心に15作品を展示する。

畠山直哉の 「untitled / Osaka」シリーズは、時間とともに移り変わる都市の変遷の様子を切り出しており、ルイザ・ランブリの「Untitled(Barragan House)」シリーズには、建築家のルイス・バラガンが設計したバラガン邸での微細な時間の変化と私的な経験が映し出されています。また、トーマス・デマンドの「Museum H 64」では、建築家・妹島和世のアトリエで建物が建つまでのプロセスにおいて日々生み出されている建築模型が被写体となっている。

これらには、実在する都市とアーティストの「あいだ」に存在する、カメラを通して視覚化されたもう一つの都市のイメージが表現されている。本展示を通して、鑑賞者が新たな眼差しで都市を捉えられる機会を創出する。

また、展覧会会期中にはトークイベントも実施を予定しており、WHAT MUSEUM 公式サイトにて随時発表される。

出展作家 ・建築事務所

(敬称略・姓の五十音順)

大島成己、アンドレアス・グルスキー、トーマス・シュトゥルート、妹島和世建築設計事務所(建築模型)、トーマス・デマンド、野口里佳、畠山直哉、宮本隆司、ルイザ・ランブリ、トーマス・ルフ

[大林コレクション展「都市と私のあいだ」 (3)]

本展の見どころ

  • 野口里佳、トーマス・ルフ、アンドレアス・グルスキーの初期作品を展示
  • 畠山直哉の1.8m におよぶスケールの「untitled / Osaka」シリーズを展示
  • トーマス・デマンドの写真とその被写体である妹島和世建築設計事務所による「すみだ北斎美術館」スタディ 模型を同時に展示

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