河北春秋(9/2):記者が「電話会談をしたのか」と問うと「テ…

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 記者が「電話会談をしたのか」と問うと「テレパシー会談はよくしているけどな。いつのことだ」とはぐらかす。「昨日の午後では」と返すと「傍受されたかなあ。いつ、どこでやったかは秘密です」▼発言の主は故小渕恵三首相。当時、自民党は小沢一郎氏率いる自由党と連立を組んでいた。問答は離脱をちらつかせる小沢氏との神経戦が続いた時のこと。審議中だった通信傍受法案にテレパシーを絡めるユーモアでとぼけた▼菅義偉首相が二階俊博幹事長を交代させる。こちらのやりとりはテレパシーならぬ「あうんの呼吸」だったという。自民党総裁選に立候補する岸田文雄氏が掲げた「党役員任期制限」の争点つぶしが狙い。コロナ対策で楽観論が目立つ首相だが、自身のピンチにはなりふり構わぬ奇策を放った▼何しろ政権を支えてくれた「後ろ盾」を切るのだから、権力への執着はすさまじい。後任選びで求心力の回復を狙うが、党内には追い詰められた末の「個利個略」などの批判が拡散しているようだ▼「人を立てて天命を待つ」タイプだった小渕氏。首相に上り詰めたとき菅氏は1回生議員だった。総裁選では所属する小渕派の方針に反し故梶山静六元官房長官を推した。今回は自身が主役。「人を切って天命を待つ」。さて結末は。(2021.9・2)