あなたはどれだけ知っている?世界の猫にまつわる“あれこれ”

交易路の拡大とともに、世界中へ広がっていった猫たち。世界各国で猫に対する考え方や対応が違うのにびっくりです。

【エジプト】猫は神様として崇拝されていた!

古代エジプトでは、猫を神様として崇拝していました。紀元前2000〜1500年頃からオス猫は「太陽神ラー」の象徴とされ、紀元前1500〜1000年頃からは人型の体に猫の頭を持つ女神「バステト」の信仰が広まりました。
古代エジプトでは死んだ猫は地位の高い人と同様、ミイラにして手厚く葬られました。猫のミイラは今までに30万体が発掘されています。
過失でも猫を殺すと処刑されました。また飼い猫が死ぬと飼い主は一家でそろって眉を剃り、悲しみを表していたそうです。

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【日本】日本の猫は弥生時代から飼われていた?

59代目の天皇・宇多天皇の日記「寛平御記(宇多天皇御記)」には、父親から譲り受けた黒猫のことが記されています。この記録が日本猫のルーツだとされていましたが、2011年、長崎県壱岐市勝本町にある弥生時代の遺跡「カラカミ遺跡」から、イエネコの骨が見つかりました。今のところこのイエネコが「日本最古のイエネコ」とされています。
ちなみに宇多天皇は猫好きの間では“日本最古の猫ブロガー”とも呼ばれていて、「寛平御記」には宇多天皇の愛猫エピソードが綴られています。

【ヨーロッパ】猫たちの悲しい歴史

中世のヨーロッパでは、宗教上の理由から猫は迫害されるようになりました。
愛玩動物として上流階級で飼われて猫たち(特に黒猫)は“魔女の使い”“悪魔の手先”とされ、忌み嫌われました。
1484年にはローマ法王が猫や猫を飼っている人すべてを処罰するなど、猫たちの不遇の時代が続きます。
しかし18世紀に入ると猫への評価が復活し始めました。猫が減ったヨーロッパの街ではネズミによる伝染病が大流行し、ネズミを退治する猫が必要と人々に認識され始めたからです。

【ロシア】ミュージアムで働く猫

世界3大ミュージアムの一つとして知られる「エルミタージュ美術館」では多くの猫がネズミ捕り要因として活躍しています。
猫たちはこの美術館が宮殿であった18世紀からこの場所にいました。女帝・エリザヴェータがネズミから絵画コレクションを守るために猫を置くように命じたのが、今の「エルミタージュ美術館」の猫の原点だそう。
美術館では年に一度の“エルミタージュの猫の日”が設けられていて、この日は普段は立ち入ることができない猫たちが暮らしている地下スペースが一般開放されるほか、猫と触れ合えるイベントなども行われるそうです。

【ベルギー】猫のためのフェスティバル

ベルギーのイーベルでは、3年に一度、5月の第2日曜に猫のためのパレード“カッテンストゥッツ”が行われます。
中世のイーベルでも猫は魔女の使いとされ、猫たちは生きたまま火の上に投げ落とされていました。この悲しい歴史を繰り返さないよう、また魔女の疑いをかけられ処刑された人々と猫たちを追悼するために、1938年から“カッテンストゥッツ”が始まりました。
当日は猫に扮した人たちによるパレードのほか、繊維会館の塔の上から投げられた猫のぬいぐるみをキャッチすると幸せになるといわれる“幸福の猫投げ”など、多数の行事が行われています。
2021年の5月に開催されたので、次回は2024年になります。

【トルコ】猫と人が共存した“猫の街”

トルコ・イスタンブールは“猫に優しい街”としても有名です。
イスラム教の開祖・ムハンマドが猫好きだったという逸話があり、イスラム教徒の人は猫好きな人が多いのだとか。
イスタンブールでは市ぐるみで野良猫を保護していて、街のいたるところに猫がいます。住民は野良猫の世話をしたり、撫でたりと猫たちをとても大切にしています。
2017年にはイスタンブールに住む7匹の猫とトルコ人との交流に焦点を当てたドキュメンタリー映画「猫が教えてくれたこと(邦題)」が制作されました。アメリカで1館から130館に拡大公開となる大ヒットを記録しました。

番外編:猫はどこからやってきたの?

エジプトでは猫は神格化されていて、国外の持ち出しが禁止されていました。2000年以上の間、エジプト内にとどまっていたと考えられます。
ネズミの天敵である猫は貿易船でこっそり飼われるだけでなく、エジプトから連れ出され中近東や現在のトルコ周辺の貴族や豪商の手に渡ったそう。
ローマ帝国の拡大によりヨーロッパ中に広まり、シルクロードが開拓されてからアジアへも進出しました。
大航海時代には海を渡り、新大陸へと移住しました。イエネコがアメリカ大陸に渡ったのは約500年前、オーストラリア大陸に渡ったのは約400年前だといわれています。

まとめ

世界各国で見られるイエネコですが、エジプトからヨーロッパを経て、中国や日本にやってきたのですね。途中悲しい歴史もありましたが、すべての猫が幸せに暮らせる世の中になることを祈ります。

※猫ちゃんお写真、ご協力いただきありがとうございました!

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