ウィキペディアを利用して大臣名を検索している人はどの程度いるのか?(データアナリスト・渡邉秀成)

衆議院選挙が近づき各候補者の選挙に対する事前準備も本格的になってきました。立候補を予定されている候補者の各種活動報告書等が郵便受けに入ることが多くなりました。また、各候補者のウェブサイト、SNS、動画投稿サイトを充実させているのも確認することができます。

2013年参院選からインターネット選挙運動が可能になりましたが、2021年現在では候補者がインターネット選挙運動、活動報告等をするのは普通の風景になりました。

ただその一方で有権者が各選挙区の候補者について熟知しているかと言えば、そうではないことが多く、投票する際には選挙公報をみたり、手短にネット検索等で各政党、候補者情報を調べることが多いと思われます。

選挙が近づき、選挙に立候補する候補者の中には、インターネット上で自分がどの程度検索されているのかが気になるかたも多いと思います。

そこで、今回はインターネット上のインターネット上の事典である、wikipediaで政治家名がどの程度検索されているのかについて調べてみました。調査対象とした政治家名は令和2年9月16日に発足した菅内閣閣僚名簿で、令和3年6月25日現在のものです。

下記グラフはこれら閣僚名簿に記載されている議員名を2020年9月16日から、2021年6月30日までwikipediaの日別アクセス数の推移をグラフ化したものです。

 

このグラフを見ると、新内閣発足直後にアクセス数が増加し、その後、あらたな人事が発表された直後にアクセス数が増加する傾向がありそうです。各種報道等から議員名が報道され、その議員名でインターネット検索してwikipediaで内容確認する人が多いのかもしれません。

情報の正確性を求める人であれば、国内外の各種有料人物データベースサービス等を利用するものと思われますが、ザックリ内容を把握したい人であれば、wikipediaを閲覧するだけで用が足りるのかもしれません。

上記グラフの右側は、wikipediaを英語で検索した場合のグラフなのですが、日本語検索よりも圧倒的に検索数が少ないことがグラフのY軸目盛りでわかります。日本の閣僚人事等を英語等でwikipedia閲覧する人は限られているものと思われます。

ここでは閣僚人事についてのグラフを見てきましたが、与党、野党を問わず、マスメディア報道で取り上げられた議員名は、報道後にwikipediaのアクセス数が増加する傾向が見られます。
(各候補者が保有しているWEBサイトアクセス状況も似たような傾向を示しているのではないでしょうか)

流れとしては、テレビ、各種新聞のウェブサイトに掲載された情報が、yahooニュース等に情報が転載され、より多くの人の目に触れるようになっているようです。ただ、インターネット選挙運動を利用したかどうかについての調査結果を見ると、利用していないと回答する人の割合が多い傾向にあります。

 

このような調査結果を見ると、インターネット選挙運動が盛んになりましたが、まだまだテレビ等のマスメディアの影響は強そうです。そして、マスメディアの影響は強いですが、地域ごとの経済団体、市民団体等との信頼関係を深めるという、地道な作業が投票所へ足を運ぶ有権者を増やすことにつながるというのが、調査結果から明らかになっています。

 

 

各候補者は、従来からある地道な作業と、インターネット上の活動との力の入れる割合を考えながら活動する必要が、ますます高まりそうです。

今回はwikipediaの閣僚候補者の検索数を観察しながら、有権者のネット選挙運動の利用割合について見てきました。

 

© 選挙ドットコム株式会社