コロナ破たん 近畿が500件に、全国は累計2672件と2020年から約2倍に増加 「新型コロナウイルス」関連破たん【12月28日16:00 現在】

 12月28日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が15件判明、全国で累計2,540件(倒産2,417件、弁護士一任・準備中123件)となった。
 月別では、2021年に入って2月以降、100件超えが続き9月、10月と2カ月連続で最多を更新した。
 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除後もコロナ破たんが減少する気配はみられず、11月も169件が判明し、3カ月連続で月間最多を更新した。12月も28日時点で153件と4カ月連続で150件を上回った。2021年は同日現在で1,697件に達し、2020年の843件に比べ約2倍に増加した。
 倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計132件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で2,672件となった。また、このうち近畿地区(2府4県)の累計件数が500件に達した。
 変異ウイルス「オミクロン株」の市中感染が確認されるなど、かき入れ時となる年末年始の消費に冷や水を浴びせる可能性も浮上している。
 事業者向け給付金などの政策支援、金融機関によるリスケ対応なども継続する見通しだが、業績不振が長期化し、事業環境も流動的な状況が続くなかで過剰債務に陥った企業も目立ってきた。コロナ関連破たんは息切れ型による脱落を中心に、年明け以降も高水準で推移する可能性が高まっている。

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~30件以上は23都道府県~

 都道府県別では、東京都が556件(倒産533件、準備中23件)に達し、全体の2割強(構成比21.8%)を占め、突出している。以下、大阪府265件(倒産259件、準備中6件)、福岡県124件(倒産112件、準備中12件)、神奈川県122件(倒産119件、準備中3件)、愛知県120件(倒産120件)、兵庫県115件(倒産107件、準備中8件)、北海道89件(倒産87件、準備中2件)と続く。
 28日は大阪府と東京都で各4件、岡山県と埼玉県でそれぞれ2件など全国で15件判明した。10~20件未満が13県、20~30件未満が9県、30件以上は23都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~飲食が最多の439件、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で439件に及ぶ。これまで緊急事態宣言の対象となっていた地域では休業や時短営業、酒類提供の制限などで経営体力の消耗が懸念され、飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
 次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が258件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の202件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が113件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が106件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した2,501件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の941件(構成比37.6%)、次いで1億円以上5億円未満が813件(同32.5%)、5千万円以上1億円未満が468件(同18.7%)、5億円以上10億円未満が145件(同5.7%)、10億円以上が134件(同5.3%)の順。
 負債1億円未満が1,409件(同56.3%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも6件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した2,417件の形態別では、破産が2,153件(構成比89.0%)で最多。次いで民事再生法が112件(同4.6%)、取引停止処分が105件(同4.3%)、特別清算が35件、内整理が11件、会社更生法が1件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した2,405件の従業員数の合計は2万5,059人にのぼった。
 2,405件の内訳では従業員5人未満が1,368件(構成比56.8%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が470件(同19.5%)、10人以上20人未満が298件(同12.3%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、7月以降も15件発生している。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

コロナ以上20211227

‌               (負債1,000万円以上)                  

コロナ未満20211227

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

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