後半戦3連勝の鷹・千賀が見せた進化 打者に「鬱陶しい」と思わせる新球種の正体

7回2失点の好投で4勝目を挙げたソフトバンク・千賀滉大【画像:パーソル パ・リーグTV】

2日の楽天戦で7回6安打2失点と好投し4勝目をマークした千賀

■ソフトバンク 5ー2 楽天(2日・PayPayドーム)

2日に本拠地PayPayドームで行われた楽天戦に5-2で快勝したソフトバンク。牧原大が初球先頭打者本塁打を放って先制すると、5回には柳田が24号3ラン。このリードを先発の千賀が7回を投げて6安打2失点と好投。千賀は後半戦に入って3連勝で今季4勝目をマークした。

千賀は序盤から丁寧な投球で楽天打線を封じた。5回まで楽天打線をわずか2安打に封じて得点を許さず。6回に茂木に2点適時二塁打を許して、後半戦初失点を喫したものの、7回を投げて6安打2失点と好投。次回登板が中5日と見込まれることから、94球でマウンドを降りた。

エースとしての“矜持”が見て取れるマウンドだった。「ゼロにこだわるというかゼロで行かないといけないと思っている。ゼロでいく回を増やしながら、複数点取られないようにしていきたい」。自分が投げる試合は負けてはいけない。とにかく相手に点を与えない。そんな魂がこもっていた。

チームの連敗を4で止める力投を見せた千賀だが、この日の投球で“進化”の片鱗を見せていた。94球のうち、わずか4球。新たな“武器”となる球種を3回に2球、4回に2球投じていた。

94球のうち4球投じた球種はダルビッシュから教わったシンカー系のボール

150キロに迫る球速で、右打者に食い込んで沈む、左打者にとっては外角低めへと逃げていく、高速シンカーのようなボールだ。2020年途中にダルビッシュ有投手(パドレス)が「スプリーム」と名付けて開発した球種をこの日は配球に組み込んだ。

これまで「ファームでは使っていました」と言うものの、1軍公式戦では使っても1、2球ほど。それが、この日は4球使った。千賀といえば、160キロに迫る真っ直ぐ、「お化け」と称されるフォーク、スラーブ、そしてカットボールを武器とする。ここにこのシンカー系のボールが加われば、投球の幅は大きく広がる。

千賀の持ち球は真っ直ぐとフォーク以外は、右打者にとっては逃げていく、左打者にとっては向かってくるボールだった。ここに逆方向へと曲がる球種が加われば、打者にとっては厄介極まりない。まだワンバウンドになるボールもあり、精度には課題を残すが、試合後、千賀も「あれで(打者が)嫌な球種が増えていくことが大事。精度を高めていきながら、使える幅を広げていけたら、もっと(打者にとって)鬱陶しいかな、と。あの球を使うことによって幅が広がる」と語っていた。

金メダルに輝いた東京五輪から戻った後半戦はこれで3連勝。3戦目にして初めて失点を喫したものの、20イニングでわずか2失点と安定感はチーム随一だ。首位とは5ゲーム差の4位に位置するソフトバンク。オリックスを追いかけるには、千賀がもたらす勝利が欠かせない。

【動画】新球種も交え7回2失点の好投 後半戦3連勝の鷹・千賀が見せた進化のピッチング

新球種も交え7回2失点の好投 後半戦3連勝の鷹・千賀が見せた進化のピッチング【動画:パーソル パリーグTV】 signature

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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