衆院選 長崎 土改連、2区候補「話し合い」での決定を要望 自民県連困惑

 長崎県内21市町などでつくる農業関連の公法人「県土地改良事業団体連合会」(会長・古川隆三郎島原市長)が自民党県連に対し、次期衆院選長崎2区で不出馬を表明した現職の加藤寛治氏(75)=3期目=の後任候補として、加藤氏の長男竜祥氏(41)を推すとともに、公募ではなく、話し合いで決めるよう要望書を提出していたことが2日、分かった。
 県連の山本啓介幹事長は「現職の後任については党本部が公募による選出を基本としている。公益性の高い団体から政党内部の決定手続きに意見をいただいたことに困惑している」と話している。
 複数の関係者によると、要望書は1日付。同連合会とその内部組織「県農業農村整備事業推進協議会」(会長・松本政博南島原市長)が同じ文面でそれぞれ提出した。加藤氏の地盤をそのまま引き継げるなどとして竜祥氏を後任とするよう要請。選挙まで時間がないことを理由に、公募ではなく、話し合いで決めるよう求めている。約2万人を目標に加藤氏の後援会会員名簿を集め、約7割まで達したことも記載しているという。
 同連合会は土地改良法に基づき、農業の生産性向上や基盤整備を目的とする公法人。会員は県内21市町と103の土地改良区。会長は古川島原市長、2人の副会長は県職員OBと土地改良区理事長。理事は金澤秀三郎雲仙市長、松本南島原市長のほか3人の土地改良区理事長で、代表監事は岡田伊一郎東彼杵町長が務める。2021年度の一般会計予算は約11億円で、主な収入は市町などの賦課金が約760万円、国県などの補助金が約2700万円、県市町などからの圃(ほ)場整備などの設計受託が約4億6千万円。
 古川島原市長は要望書提出について「農業者の声を代弁しただけで、政治活動ではない。公募が公平だが、県連内で早く話し合って決めてほしい」、松本南島原市長は「時間がないので私独自の判断。近隣自治体には報告した」とそれぞれ述べた。
 農林水産省の担当者は「法に政治活動の規定はないが、補助金が入っている団体なので、国民や県民の疑念を招くようであればよろしくない」としている。
 県連は2区の後任候補を公募で選ぶ方針で、5日の選挙対策委員会に日程や方法を提案する。雲仙市区選出県議で県連政調会長の宅島寿一氏(51)ら複数が応募に意欲を示している。

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