阪神の首位奪回近し? 「15連勝」二軍若虎の突き上げで一軍ナインに高まる危機感

7回に決勝の3点タイムリー三塁打を放った阪神・中野

阪神が巨人との首位攻防第1ラウンド(3日、甲子園)に7―3で快勝した。

超積極采配が終盤に結実した。矢野監督は打線を大幅に入れ替えて臨むと、2点を追う7回に打線が奮起。7番・大山の適時二塁打で同点とし、最後は二死満塁から初の1番に抜てきしたルーキー・中野が右翼フェンス直撃の走者一掃三塁打で試合を決めた。

7回終了時点でベンチ入り野手2人以外、全員を使い切って執念の逆転劇。積極的な采配で勝ちきった指揮官は「全員が絶好調という状態ではないですが、僕たちの野球はできた」と満足げに振り返った。

この日はスタメンを大幅に変更。チーム一の23本塁打・佐藤輝、同61打点・サンズを外し、近本、マルテ、ロハス・ジュニアで中軸を形成。結果が伴わなければ、周囲の雑音が増したであろう大胆な一手だった。

これまでにない勝負手を繰り出した背景には、3日現在ウエスタン15連勝とリーグ記録を更新中で絶好調の二軍の存在がある。外野手起用ひとつとってもいい例だ。

その二軍で主力だったのが8月29日に昇格後、3試合で先発の小野寺やこの日、2番で今季初先発・島田などの20代中盤世代。そんな面々のギラギラ感はチームにこれまでにない風を吹かせている。さらに小野寺らよりもひと世代上にあたる陽川、高山、江越らのアラサー世代も連勝記録に貢献しつつ、一軍からお呼びがかかるのを待っている状態だ。

8人が4枠を争う外国人選手同様、現在の猛虎で「レギュラー」と呼べるのは近本ぐらい。ほとんどの日本人選手が常にファームからの目に見えない〝突き上げ〟を感じながら一軍でしのぎを削っている。一、二軍の枠を越えた相乗効果が、Vを目指す猛虎の雰囲気を引き締めていることは間違いない。

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