旧国鉄保養所跡が宿泊施設に変身、網走「鉄ちゃんと鉄子の宿」は夢のような宿だった【宿泊体験記】

北海道・網走市にある「鉄ちゃんと鉄子の宿」は、客室から石北本線を走る列車が見え、館内は貴重な品々が展示される鉄道資料館になっているなど、鉄道ファン垂涎の宿です。旅行サイトの口コミにも「鉄分濃かった!」、「てっちゃんの宿、それだけで十分」などの声が寄せられています。どんなワクワクが待ち受けているのか。宿泊してきました。

旧国鉄保有所を転用して鉄道に特化した宿をオープン

石北本線までわずか20m

昭和23年に網走駅の隣に建設された保養所が、昭和35年に現在地に移築されて国鉄職員の福利厚生に利用されていました。昭和60年に網走市呼人で宿泊施設を営む「温泉旅館もとよし」が譲り受け、長らく別館として利用。2010年5月に鉄道に特化した「鉄ちゃんと鉄子の宿」としてオープンしました。

シグナルが灯る夜の鉄ちゃんと鉄子の宿

到着すると同じ敷地内にある「温泉旅館 もとよし」で、チェックインを済ませます。鍵を受け取ると、係りの方が「鉄ちゃんと鉄子の宿」に案内してくれました。宿は保養所そのもの。昭和の香りが漂っています。入り口前には踏切や信号が鎮座。この歓迎は鉄道好きにはたまりません。

トレインビュー「1号車」に宿泊

広々とした和室タイプの1号車

客室は部屋番号ではなく、号車番号で統一される徹底ぶり。客室から石北本線までわずか20mという近さに驚かされます。「トレインビュー」のほか、列車が見えない代わりに、リーズナブルな料金が設定されている部屋もあります。

懐かしさがこみ上げるビデオデッキ
懐かしい光景がブラウン管に映し出される

1号車にはVHSビデオデッキが設置され、ブラウン管テレビで懐かしい鉄道映像を見ることができます。釧網本線のビデオをかけると、ずっと前に廃止されたディーゼルカーや、貨物列車が映し出され、たちまち昭和にタイムスリップしました。

館内すべてが鉄道資料館

保養所時代の姿を残す3号車
3号車の壁にかけられた作業着

客室のほとんどが和室に改装されていますが、3号車(3号室)だけは保養所時代の姿を保っています。二段ベッドや、年季が入った木製の窓枠、無造作にかけられた作業着などが、当時を忍ばせます。

鉄道関連用品が溢れる館内

館内のいたるところに鉄道関連用品が展示されています。廊下の一角に「ふるさと銀河鉄道(旧国鉄池北線)」のコーナーが設けられていました。展示品の多くは鉄道ファンなどから寄贈されたものだそうで、見ているだけで楽しくなります。

さまざまな鉄道雑誌が並んでいる

鉄道に関する書籍も多く、雑誌のバックナンバーも豊富。この棚以外にも保管されていて、すべて読むには連泊必至です。

切符や写真を中心に展示

館内には常設展示室も設けられていて、切符や写真のほか、タブレットなど歴史を感じる鉄道関連用品が展示されています。

プラレールコーナーとゲームコーナー

子どもたちの夢の国「プラレールコーナー」

ちびっこに嬉しいプラレールコーナーも開設。Nゲージを楽しめるレイアウトルームもあるなど、年代を問わず鉄道の魅力に触れることができます。

※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、当面の間いずれも利用を中止しています。

レトロなゲームコーナー

お風呂はすぐ近くの「温泉旅館 もとよし」を利用します。保養所時代の浴室は廃止され、なんと脱衣所がゲームコーナーとして使われています。初期のファミコンやプレイステーションなど、懐かしいハードが勢ぞろい。持ち込みも可能なので、お気に入りのソフトを楽しんでみてください。

北海道旅行のプランに取り入れることをおすすめします

唯一無二の魅力に溢れている

網走は一年を通してさまざまな観光が楽しめます。旅行プランの中に鉄ちゃんと鉄子の宿を組み込んでみてはいかがですか。アクセスは、網走駅から車で約10分、呼人駅から徒歩約30分。2021年8月現在の宿泊プランには夕食の設定がなく、宿の周囲に飲食店や商店もありません。あらかじめ買い物を済ませてからチェックインしてくださいね。

文/写真:吉田匡和

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