【MLB】ヤンキース急上昇の秘密を番記者が分析 大砲2枚の獲得で「活気が劇的に変わった」

8月は21勝8敗と絶好調のヤンキース【写真:AP】

左の大砲2枚が加入し、打線構成にバリエーション

シーズン終盤を迎えている米大リーグでは、ヤンキースが好調だ。特に7月末のトレード期限後の上昇は顕著。ニューヨーク地元メディア「ニュースデイ」のヤンキース番、エリック・ボーランド記者がFull-Countの独占インタビューに応じ、強さと変身の秘密を解き明かした。

ヤンキースは8月を21勝8敗で駆け抜け、9月3日(日本時間4日)現在、アメリカンリーグ東地区2位。首位レイズからは6.5ゲーム差をつけられているものの、ワイルドカード争いでは1.5ゲーム差でトップを走っている。

ボーランド記者はこの要因を「新加入選手が来てから、クラブハウス内の活気が劇的に変わった」と分析。特に大きいのはレンジャーズからやって来たジョーイ・ギャロ外野手と、カブスからのアンソニー・リゾ内野手という2枚の左の大砲だという。

「これまでは右打者が多く、ホームランに頼ってばかりで一面的な攻撃陣だった。相手チームの監督が操縦しやすかったのが、そこに強力な2枚の左打者が入った。ギャロは苦戦していたとはいえ、それでも彼のパワーを考慮しなくてはならない。存在感はクラブハウスでも大きな役に立っている。彼らの獲得以降、クラブハウスの活気が『非常に低い』から『非常に高い』になった」

今季途中のトレードで獲得した2人は、戦略的にも、そしてチームの空気という面でも大きな存在になっているという。

ヤンキースのアンソニー・リゾ【写真:AP】

ダルビッシュの盟友リゾ、世界一の経験が終盤に生きる

特に、カブス時代にはダルビッシュ有投手とも親しかったリゾの影響は大だ。彼の加入後のクラブハウスの活気は、ボーランド記者が取材した関係者によれば「2から12」に急上昇したという。

さらに「リゾは初日から、このチームにずっといるような雰囲気だった。シカゴでの評判通り。カブスの監督を務めていたジョー・マドンも『良い時も悪い時も、ポジティブな雰囲気を持ってきてくれる』と話していたね。どの選手より直近でワールドシリーズを制しているから、自動的に尊敬を集めている」とまで評する。

リゾは2016年、カブスが世界一になった時の中心選手だった。「最もスポットライトが当たる9月の優勝争いや、10月のポストシーズンにもいい成績を出してきた実績がある。打撃でも守備でもチームメートとしても、ヤンキースが求めるもの全てを提供している」。シーズン終盤にこそ、経験を生かせる場面が来る。

ただ、残り試合は30を切っている。ボーランド記者もこの期間にレイズとの差をひっくり返せるかについては懐疑的で「ヤンキースは決してそうは言わないが、地区優勝ではなくワイルドカードに焦点を置いているだろう」と推測する。ただヤンキースとレイズの残りカードを見れば、地区優勝の可能性もゼロではない。さらにシーズン最後にヤンキースタジアムでのレイズ3連戦を残している。逆転優勝はなるだろうか。(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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