テコンドー太田、夏の「挑戦」楽しむ 冬のメダリスト「素晴らしい経験できた」 

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58キロ超級敗者復活戦2回戦で敗れた太田(中央)

 冬のメダリストが夏の格闘技の舞台で輝いた。4日に幕張メッセ(千葉市)であった東京パラリンピックのテコンドー女子、K44(上肢障害)58キロ超級の太田渉子(32)=ソフトバンク、山形県尾花沢市出身=は、冬季パラに3大会連続で出場、スキーなどで2個のメダルを獲得し、一度引退しながら、アスリートとして戻ってきた。3個目のメダルは得られなかったが、挑戦する楽しさを大舞台で存分に表現した。
 最重量の階級で身長164センチは海外勢に比べ小柄。スキーで培った体幹の強さを武器に、果敢に相手の懐に飛び込み、蹴りを放ったが、敗者復活戦で敗れた。
 本格的に競技を始めて4年足らず。普段の穏やかな表情は格闘家に見えない。蹴りが決まると、今でも「当たってしまった」と思うが、爽快感が魅力だ。スキーでは1人で黙々と滑っていた。「スポットライトを浴びるのが気持ちいい」とも魅力を話す。
 左手指がない先天性の障害がある。山形・北村山高時代の2006年、トリノ冬季大会に出場し、バイアスロンで銅メダルを獲得。10年のバンクーバーは距離で銀メダルに輝いた。14年のソチで開会式の旗手も務め「スキー選手としてやれることは全てやった」と引退した。
 パラスポーツ指導員の資格を取るなどして裏方を務めていたが、東京大会に向けてテコンドーで強化指定選手がいないことを知った。18年の全日本選手権に参戦。新型コロナウイルス感染拡大による大会の1年延期も前向きに捉え、欠点を見つめ直した。
 初めての夏の大会は不戦勝の1勝のみに終わった。それでも「一歩を踏み出すことの大切さを見ていただけた。たくさんの出会いがあり、素晴らしい経験ができた」。挑戦の軌跡をしっかりと刻んだ。
(高橋俊也)