亀田興毅氏 コロナの逆境もジム会長業で奮闘「アンチが減って寂しい。アンチを欲してます…」

オンラインで取材に応じた亀田興毅氏

ボクシング元世界3階級王者の亀田興毅氏(34)は、現在大阪・西成のボクシングジム「3150ファイトクラブ」の会長を務める。今月28日の興行「3150ファイトvol.1」(大阪府豊中市)は残念ながら延期となってしまったが、コロナ禍でも様々なアイデアを仕掛けている。その奮戦ぶりと、今後のビジョンについて聞いた。

【亀田興毅氏インタビュー・後編】

――〝少年革命家〟でユーチューバーのゆたぼんも参戦だった

亀田 ボクシングをやりたいと言うんやったら、真剣にやって世界チャンプを目指せばいいという話ですよ。我々のジムにもちびっこボクサーがいっぱいいるし、それならプロと同じリングで子供のスパーリング大会を入れるのも面白いんじゃないかなと。

――自身の参戦は

亀田 ないない。赤字が続いて「会長自らリング」ってなれば、瞬間で稼げる自信はあるけどね。でも、ないよ(笑い)。

――では年内に行う仕切り直しの興行について、改めて意気込みを

亀田「3150ファイトクラブ」1期生の4回戦の選手(プロテストに合格し、C級ライセンスを与えられた)5名全員が出場する予定。これからのボクシングを支えるのは4回戦の選手。4回戦の選手たちが活躍できる場を作っていきたいと思っているので、注目してほしい。4回戦からファンが付いたら、これからの興行も安泰。亀田家はその先駆けで、デビュー前の子供のころからテレビに取り上げていただいて、ずっと視聴者に注目されてきた。同じことを4回戦のボクサーからやっていく。時間はかかるが地道にやっていきたい。

――会長就任からちょうど半年だが、コロナでアクシデントが続く

亀田 大変。ボクシングの興行がでけへんから、チケットも売れない。利益が出ないから興行をやめとこっていう悪循環になっている。興行がないので、ボクサーは戦う舞台がなく引退する選手も増え続けている。そんな選手たちが戦える舞台を作ろうと思って自分が会長になったけど、コロナに完全に振り回されています。

――会長の仕事はどう

亀田 選手とは全然違うし、ビジネスですよね。慈善事業じゃないから、しっかり稼がないといけない。昔からジムって(経営が)しんどそうじゃないですか。そこを変えたい。選手が稼げるのはもちろんですけど、会長も稼げる形にせんと、なりたい人間もいない。

――どんな会長像

亀田 ボクシングで世界チャンピオンになった人がフィットネスジムをやったりではなく、喜んでボクシング業界に入ってきてくれるようになればと。会長という職業が憧れになり、夢があるようにしたい。そのために「亀田興毅が会長で稼いでるで」ってのを見せていけたら。今は赤字続きやけど、しっかり選手を育てて、興行をつくる。とても難しいことですが最低5年ぐらいはかかると思っている。

――アンチの声も

亀田 一つの意見としてあったらいいと思いますよ。最近ちょっと減った感じで寂しいですけど(笑い)。「アイツの顔が嫌い」などの全く関係のない批判はどうでもいいですけど、改善につながるような批判は「こういう意見もあんねんな」と参考になります。なのでアンチが減って寂しい。アンチを欲してます…。

☆かめだ・こうき 1986年11月17日生まれ。大阪府大阪市出身。父・史郎氏の指導のもと、小学生のころからボクシングに打ち込む。弟の大毅、和毅とともに亀田三兄弟と呼ばれ、キャッチコピーは「浪花乃闘拳」。WBA世界ライトフライ級など、日本人初となる世界王座3階級制覇を達成した。現在は大阪市西成区にボクシングジム「3150ファイトクラブ」を開設し、会長に就任。ボクシングへの〝恩返し〟を行っている。

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