【TOKYOパラ ともに前へ】ダブルスで銅 大谷が取り戻した「自分らしさ」

車いすテニス女子ダブルス表彰式で、銅メダルを手に笑顔を見せる大谷(右)と上地=4日午後5時20分、有明テニスの森公園

 東京パラリンピック車いすテニス女子ダブルス3位決定戦が4日、東京都の有明テニスの森公園で行われ、栃木市出身で初出場の大谷桃子(おおたにももこ)(26)=かんぽ生命=と上地結衣(かみじゆい)(27)=三井住友銀行=のペアが中国ペアを6-2、7-6のストレートで下し、銅メダルに輝いた。

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 車いすテニス女子ダブルス3位決定戦。大谷桃子(おおたにももこ)のフォアが相手ミスを誘うと、会場は関係者の拍手で包まれた。「すごくうれしいです」。上地結衣(かみじゆい)と肩を抱き合い喜びをかみしめた。

 初出場のパラで初のメダルが懸かった大一番。「上地選手と組むからには、メダル獲得が絶対だと思っていた」。重圧を感じながらも「先にミスをしない」。シンプルな思考を貫いた。

 第1セットの最初のゲームをブレークし、流れをつかんだ。相手ペアのバック側を狙って甘い返球を呼び込み、上地がノータッチを決める。2人が追求してきた「理想の展開」だ。

 一進一退の攻防となった第2セット。「かなり追い上げられて苦しい時間も長かった」。タイブレークに入る直前、国内第一人者でもある上地が求めた。「回転を掛けて。浅くなってもいいから」。1歳上のパートナーの言葉を信じた。

 0-3から6連続でポイントを取り、最後も強烈なフォアハンド。相手のレシーブは大きく弧を描き、ベースラインを割った。「最後まで本当にすごく走ってくれて、粘ってくれた」。上地は感謝した。

 シングルスは準々決勝で敗退。「こんなプレーで申し訳ない」。地元で応援してくれている人を思い、涙した。それから4日。スピンの効いたショット、多彩なサーブが復活。見せたかった「自分らしさ」を、2時間29分で体現した。

 作新学院高を卒業後、下半身にまひが起きた。佐賀県を拠点に、5年の努力を重ねてたどり着いた夢舞台。「まだまだここで戦える実力とか、体力は足りなかった」。念願のメダルは手にしたものの、表彰台の一番上には立てなかった。

 9日間の戦いを終え、3年後を見据えた。「もっともっと良いメダルを取れるように、頑張っていきたい」。東京で味わった喜びや悔しさが、きっとこれからの力になる。

車いすテニス女子ダブルス3位決定戦 バックハンドでショットを放つ大谷。左は上地=有明テニスの森公園

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