夏が終わり、ナラ枯れが目に付く時期を迎えた。昨年度から県央地域でも街中の公園や雑木林に被害が散見され、各自治体で対策も行われているが、急拡大に歯止めをかけるまでには至っていないようだ。
大和市上和田の「上和田野鳥の森」(約4.2ヘクタール)。湧水を集めた小川が流れ、身近に自然を感じられる場所として親しまれているが、葉が茶褐色に変わったり、予防のシートが巻かれたりしたコナラが点在するなど、異様な光景が見られる。
同市の委託を受けて管理する市グリーンアップセンターによると、変色しているのは大半がコナラ。穿孔(せんこう)虫類のカシノナガキクイムシが幹に侵入したもので、枯死したのは昨年度より増えて32本に上っている。
同市では、倒木・落枝の危険性があり、散策路に近い枯死木から伐倒処理を順次実施。一部の変色にとどまっている被害木の周辺などに看板を設置して注意を呼び掛けている。
市内最大の保存緑地「泉の森」(約42ヘクタール)でも、枯死木は昨年度の46本から本年度(8月時点)は94本に増加。関係者は被害のさらなる拡大を懸念し、対策に苦慮している。
隣接する座間市では7カ所の公園・緑地で監視活動を継続。被害が初めて確認された昨年度は284本、本年度(8月時点)は377本に伐倒薫蒸や薬剤注入を行ってきた。
市公園緑政課は「予防や駆除の対策をかなりやってきたつもりだが、被害を抑え込むのは難しい。被害拡大期は数年間とされており、対策を続けていきたい」と話している。
同市内では、市民団体「座間安全・安心推進会」が行政と連携した活動を展開。簡易な薬剤噴霧法を考案し、民有林所有者に対策を呼び掛けている。
代表の小林覚さんは「薬剤を噴霧した木にほとんど被害は起きていない。市内全域を見渡せば、被害が目立つ場所がある。ナラ枯れのまん延を防ぐには初期対応が重要で、市民への周知も足りていない」と訴える。
◆ナラ枯れの被害傾向 落葉樹のコナラ・ミズナラに被害が多い。枯死率は3~5割と高く、発生から3年程度で劇的に被害を拡大させる。穿孔虫が媒介したナラ菌の作用で通水機能を失って枯死に至り、その後1~2年で小枝、3年で大枝が落下、5年で根返りを起こして倒木する危険性がある。