ジメジメした天気は株価にも影響?湿度と不快指数で秋の株式相場を予測する

秋の長雨の季節になりました。夏の猛暑を引き起こした太平洋高気圧の勢力が弱まる一方、大陸にある冷たい高気圧の勢力が強まって、2つの勢力の境目にできた秋雨前線が日本列島に停滞します。これが秋雨の原因になります。前線が弱まる10月半ばの“秋晴れ“の頃までは、台風の上陸の時期とも重なり”ぐずついた天気“になりがちです。

そんな天候と株式市場の間には深い関係があることは、以前から、この連載でも取り上げてきました。「梅雨入りが早いと株式市場は上がる?下がる?統計から見えた意外な結果”」では、梅雨入りが早い年の6月相場は株価が安くなる傾向にあることを紹介しました。梅雨入りが早ければそれだけ、6月は雨模様の天気の日が増えます。 “雨の日には株価が下がりやすい”という統計結果が出ているのです。

このような天気と株価の関係は行動経済学という学問で裏付けられています。行動経済学を平たく言うと、人間の行動はその時の気分に左右されるため、株式を買ったりする投資も気分の影響を受けてしまうということです。雨の日には投資家が憂鬱な気分になり株式市場で悲観的な見方が強まるため、株安につながりやすいということです。

今回は雨と同じように、人々の行動に影響を与えやすい要因として「湿度」と株価の関係を紹介します。9月といえば気温がまだ20度を大きく上回る日も少なくありません。暑くてジメジメしていると、気持ちも憂鬱になりがちです。これが株安の原因になるということです。では、実際の分析結果を見てみましょう。


湿度の水準別に株価の傾向を分析

気象庁のウエブサイトからは、過去に遡って1961年から毎日、東京の平均湿度のデータを取ることができます。湿度に関しては様々な目安もありますが、60%を超えてくるとジメジメしてきて、人々が不快を感じ始めやすくなります。

更に、湿度が高くなってくると汗をかいても、その汗が蒸発しにくくなり体に熱がこもりやすくなります。熱中症の原因になったり、更に体を冷やそうと汗が大量に出るようになって体力の消耗が激しくなったりもします。こうした疲労感も人々の気持ちにネガティブに働く原因になります。
そこで、湿度の水準別に日経平均株価の騰落を集計してみました。

湿度が40%から60%の「快適」ゾーンでは日経平均株価の騰落率は平均すると0.070%でした。年率ベースで見ると17.4%です。これは毎日湿度が快適ゾーンだったなら、株価は平均して1年間で17.4%上昇する傾向があることになります。

一方、湿度80%以上の「特に湿っぽい」だと9.4%下落する傾向にあります。「快適」ゾーンにあると株価が高く、湿度が上がるにつれ株価の上昇傾向は低下して、湿度80%以上は株安傾向になることが分かりました。

足元はぐずついた天気も多くなっています。秋雨前線が活発な状況で湿度が高いと株式相場もぐずついた傾向となってしまうかもしれません。

蒸し暑さ指標“不快指数”と株価の関係

次に、湿度に関してもう少し踏み込んだ分析結果を紹介しましょう。最近は蒸し暑さを数量的に表す“不快指数”が天気情報などから発表されています。

不快指数は気温と湿度を使って計算します。計算式は非常に専門的なものですが、平たく言えば湿度が同じでも気温が高ければ人々はより不快になり易いことを数値化しています。不快指数が高ければ高い日ほど、人々が蒸し暑く、不快を感じやすくなるということです。

その不快指数と日経平均株価の騰落をみてみます。

蒸し暑くない(不快指数が70未満)は外の2つのゾーンに比べて日経平均株価の平均騰落率が高く、不快の程度が強い(不快指数が80以上)ゾーンでは平均騰落率はマイナスでした。

各社の天気予報のなかには不快指数の予報も見られます。今日の株価の予測に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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