王者ソフトバンクの「9月反攻」着々 上位球団にプレッシャー与える工藤監督の“緻密な計算”

逆転Vヘ自信たっぷりのソフトバンク・工藤監督(左)。右は王球団会長

ライバルに重圧がかかっていることだろう。王者ソフトバンクが9月に入り、反攻姿勢を強めている。直近2戦は2桁得点で、今月3勝すべてが先発に白星が付く安定した戦いだ。5日のオリックス戦では高卒4年目の大砲候補・リチャードが2発6打点。新しい力で勢いをつけ、そこに絶対戦力が満を持して戻る。

守護神・森唯斗投手(29)が7日からの西武戦(メットライフ)で一軍昇格することが決定。4月末に「左肘関節化膿性滑液包炎」のため抹消され、手術を経てリハビリに励んできた右腕が反攻の輪に加わる。チームは6月から3か月連続の月間負け越し。森不在の大きさを痛感する戦いが続いた。直近では経験豊富でシーズン終盤の戦いを心得る岩崎、嘉弥真も登録抹消。若手が多いブルペン陣容にあって、リリーフ陣の「精神的支柱」帰還の意義は大きい。

その復帰経緯も、どこか工藤監督の逆転Vへの自信をのぞかせる。「人間って気持ちが優先してしまうと体の(細かい)所が見えなくなるし、感じられなくなる。だから、そこは僕があえて『ここはどうだ』『そこはどうだ』と言いながら確認した方がいい」。外野から聞こえる守護神の早期昇格待望論には一切目もくれなかった。当初の計画通り「9・7」に戻してきたところに、残り37試合で4ゲーム差をひっくり返す緻密な計算が透けて見える。

「野球は何があるか分からない。そこがまた面白いから人気がある。それを楽しむのも一つの方法じゃないですかね。もうダメだろ…なんて言ったらなんの楽しみもなくなる。ホークスの力はこんなもんじゃない。皆さんに楽しんでいただきたいですね」

あくまで〝予定は未定〟だが、今後もモイネロ、グラシアルら主力陣の帰還が視野に入る。100試合を超えて、どの球団も疲弊する戦力。鷹の将から自然と出る言葉は、追われる他球団にとっては不気味なはずだ。

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