「なぜアーセナルは30億円の冨安でよかったのか」 逸材との比較で現地紙が説明

移籍期限最終日にアーセナルへの移籍が決まった日本代表DF冨安健洋。

エクトル・ベジェリンに代わる右サイドバックを探していたアーセナルはノリッジDFマックス・アーロンズも狙っていた。

21歳のアーロンズは小柄ながらと足元とスピードを兼備し、無尽蔵な攻め上がりを見せる選手だ。

そうしたなか、『football.london』は「アーロンズではなく冨安を選んだアーセナルは非常に賢明な獲得したといえるはず」と伝えた。

『football.london』

「アーセナルのアーロンズ獲得を期待する声は多かったが、開幕3試合での苦闘ぶりを見ると、エドゥ(アーセナルTD)が冨安の獲得を好んだ理由を浮き彫りにしうる。

ガナーズはシーズン開幕前に右SBを確保する必要があったものの間に合わず。そして、デッドラインデイに冨安を合理的な額である2000万ポンド(30億円)ほどで獲得した。

移籍が噂され続けたアーロンズの価格は冨安よりもはるかに高い3500万ポンド(53億円)ほどになったとされている。

昨季2部でのアーロンズは非常に攻撃的なサイドバックだった。ファイナルサードでチャンスを演出したり、シュートを打つことも多かった。

昨季は敵陣ペナルティエリア内で103回ものボールタッチを記録(1試合平均で2.13回)。たが、今季のプレミアリーグ開幕3試合ではエリア内でのタッチはわずか2回だけ。

対戦相手がリヴァプール、マンチェスター・シティ、レスターと強敵だったことは考慮すべきだが、今季のノリッジは大半の試合で不利におかれるはずだ。

一方、アーセナルは攻撃のバランスが悪いように見える」

「左SBのキーラン・ティアーニーは右サイドよりもはるかにアクションが多い。もしアーセナルが前に出るのが好きなアーロンズを獲得していたら、多少は均衡していたかもしれない。

だが、アーセナルとノリッジはどちらも9失点しているものの、ヒートマップを見るとティアーニーはアーロンズよりはるかに前に出ようとしている。

ポゼッション率を見ても、ノリッジ(43.68%)のほうがアーセナル(41.55%)よりも高い。したがって、ノリッジのほうが開幕3試合で後手に回っていた時間が長いという指摘は論外である。

そう考えると、冨安の獲得は非常に賢明な選択といえるだろう。ティアーニーが常に攻撃を続ける攻撃的なサイドバックだということを考えれば、冨安はより多くのバランスを提供する。

2020-21シーズンにボローニャで右SBとして起用された際のヒートマップを見れば、冨安は前進できる一方で必要な時には自陣内や自陣近くで規律を保つことができると分かる。

アーセナルの4バックは攻撃時に3バック化しうるが、これは前からあったことだ。

前に出たティアーニーをカバーするためにグラニット・ジャカが落ちてくることはよくあったが、攻撃時にMFをひとり犠牲にすることになっていた。

さらに、ジャカとコンビを組むMFがスペースを埋めるために左に寄りがちなため、右ウィングが孤立することに。そして、サポートがないニコラ・ペペが数的不利になったり、ポゼッションをロストすることが頻発。

(今後は)2人のセンターハーフがサポートしつつ、冨安は3バックの一角に入り、左CBがティアーニーのカバーにいく。これによって、よりバランスのとれた攻撃ができる。

さらに、ジャカはティアーニーへの単純なスルーパスではなく、よりダイレクトにストライカーにボールを入れることが可能だ。

とはいえ、冨安が正しい選択だったと言えるか否かは、彼がフルシーズンを過ごした時に決まるだろう。

今週末の試合では、冨安とアーロンズが対峙する可能性もある」

攻守のバランスを考えれば、アーロンズよりも冨安のほうがいいということのようだ。

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最下位アーセナルと19位ノリッジはともに得失点差マイナス9。週末の試合ではその両チームが激突する。

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