J2終盤戦突入 暫定7位のV長崎 「守」から「攻」へ意識変え反撃

第28節の琉球戦で、相手に囲まれながらも果敢にシュートを狙うV長崎の毎熊(中央)=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎

 サッカーJ2リーグは第28節を終え、今季もあと3分の1を残すのみとなった。V・ファーレン長崎は暫定7位。序盤の出遅れが響いているが、監督交代後は引き続き好調だ。直近の試合では従来の「失点しないサッカー」から脱却して「得点を奪うサッカー」へ転換。上位から勝ち点3を奪取し、クライマックスに向けて勢いづいている。

■強者の精神

 4日に行われたホーム琉球戦。V長崎が見せたのは、攻守に積極的な姿だった。
 松田監督の就任以降、V長崎の戦い方はまず守備ブロックをしっかり整えて相手をはね返し、隙を突いて得点を狙うのが定石。だが、この日は違った。自ら奪いに行くようなプレス守備を展開し、攻撃的な色合いが濃いサッカーでアグレッシブに押し込んだ。2点リードで迎えた後半も攻め手を休めることなく3-1。3位チームを相手に快勝した。
 「手堅さ」や「いかに勝つ確率を上げるか」を追求してきた松田監督が、リスクを負ってでも攻める戦術に切り替えたのはかなり大胆にも映るが、指揮官は琉球戦前の取材でその胸中を明かしていた。
 「結果にはメンタルが一番かかわる。勝てるチームはメンタルが強く、うちのチームはそこが一番の問題かもしれない」
 負けられないという重圧からか、8月のアウェー3連戦は慎重なプレーが目立ち、勝てる試合を落としてしまった。その反省から「思い切りの良さを出していかないといけない」と感じたという。
 昇格圏までの勝ち点差は「10」と決して小さくない。わずかな可能性をものにするには「負けない戦い方」ではなく「勝利をつかみに行く戦い方」にシフトすべきだと判断した。
 意識改革の効果が琉球戦で早速出たことで、チームの雰囲気はいい。今季9点目を挙げたFWエジガルジュニオは「次の試合にも自信を持って臨める」と手応えを語り、MFカイオセザールは「最高の試合をしたと思うが、この試合を基準にさらに良くしていかないといけない」と気合十分。強者の精神がチームに宿り始めている。

■14試合+1

 多くのチームが残り14試合となった中、V長崎は第25節ホーム山形戦が大雨で未消化のため、まだあと15試合あるのは大きい。さらに、1~6位との直接対決が琉球以外すべて残っている。暫定2位の京都も同じく1試合消化が少ないが、V長崎は上位に勝ち続けてプレッシャーを与えられれば、逆転の可能性が広がるはずだ。
 昨季J1昇格を決めた2チームの第28節終了時点の勝ち点は徳島が「55」、福岡が「56」で、どちらも最終的に「84」に達した。今季は首位磐田が「59」、暫定2位京都は27試合で「57」と、昨季を上回るペースで逃げている。「47」のV長崎は、とにかく勝利を重ねるしかない。

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