「ふきのとう」に含まれる物質に強い抗がん・転移抑制効果を発見 岐阜大学

 岐阜大学の研究グループが、日本原産のふきのとうに含まれる物質に、複数のがん種の増殖・転移抑制効果があることを発見したと発表した。またその作用の仕組み上副作用リスクも非常に低いとしており、今後この物質をベースとする革新的な抗がん剤の開発につながればとしている。

9種以上のがん細胞に効果確認、既存薬と違い副作用リスクも低い

 研究成果を発表したのは、岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科 創薬専攻 平島一輝 特任助教、赤尾幸博 特任教授らの研究グループ。グループは天ぷらなどの和食に使われる日本原産植物「ふきのとう」に多く含まれる「ペタシン」と呼ばれる物質が、がん細胞に特徴的にみられる、増殖し成長するためのエネルギー代謝を阻害することで、がんの増殖と転移を阻害することを発見した。細胞実験では、乳がん、胃がん、大腸がん、膵臓がん、膀胱がん、前立腺がん、悪性黒色腫、肉腫、白血病など幅広い種類のがん細胞に対して非常に強い抗がん活性を示したという。

 また、既存の抗がん剤と作用の仕組みが全く違い、がん細胞だけにみられるエネルギー代謝に作用するため、がん細胞以外の正常組織にほとんど副作用を示さないこともマウス実験で確認した。

研究グループは今回発見した「ペタシン」は人工的に大量合成することが可能なため、今後ペタシンをベースとした新しい抗がん・転移阻害薬の開発が期待できるとしている。

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