米の核先制不使用政策 反対しない明言求める 被爆者団体など首相らに書簡

 長崎の被爆者5団体など国内を中心とする22団体44人が7日、バイデン米政権が検討を進める「核の先制不使用」政策に反対しないと明言するよう求める公開書簡を、菅義偉首相ら日本の主要政党党首に送った。
 先制不使用は敵の核攻撃を受けない限り核を使わない考え方で、オバマ政権が2016年に検討したが、米国の「核の傘」に依存する日本などの同盟国が反対し断念した。その背景として、書簡では、核抑止力の低下を懸念する日本が独自に核武装する恐れを、米側が持っていたと指摘。先制不使用政策が日本の核武装につながらないよう、確約することを重ねて求めた。
 バイデン大統領は就任前に外交専門誌で、核保有の目的を核攻撃抑止と報復に限る考えを示しており、来年1月に策定予定の新たな核戦略指針に先制不使用などを盛り込むか注目されている。
 書簡は、NPO法人原子力資料情報室(東京)など5団体5人が呼び掛け、長崎・広島の被爆者団体や核政策の研究者ら17団体39人が賛同。ペリー元米国防長官ら核軍縮専門家も先月、同趣旨の公開書簡を菅首相らに送付している。

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