栃木県、緊急事態延長を要請 医療体制、依然厳しく

県内の新型コロナ感染者数

 福田富一(ふくだとみかず)知事は7日、栃木県に発令されている新型コロナウイルス緊急事態宣言の期間を延長するよう政府に要請した。12日の期限が迫る中、新規感染者数が100人を下回り全療養者数が減少傾向にあるものの、病床使用率や入院率など医療提供体制は依然として厳しい状況にある。政府は首都圏4都県などを軸に期限を延長する一方、一部地域は解除する方向で調整を進めており、早ければ9日にも決定する見通しだ。

 要請は菅義偉(すがよしひで)首相宛てに文書で提出した。「医療提供体制への負荷が高いままであり危機的状況が続いている。新規感染者数や全療養者数の減少傾向を確実なものとし、医療提供体制への負荷を何としても減らすため、緊急事態措置区域としての対策を引き続き行う必要がある」などとして、13日以降も措置区域となるよう求めた。

 本県は8月20日に緊急事態宣言が適用され、県民・事業者に対し外出自粛や営業時間短縮(時短)などを強く要請してきた。その結果、新規感染者数は8月19日の273人をピークに減少傾向にあり、5日以降は3日連続で100人を下回っている。人口10万人当たりの全療養者数も、8月25日の100.4人をピークに減少し、6日は60.3人まで下がった。

 一方、警戒度を判断する各指標は、7項目のうち5項目が「ステージ4」にとどまっている。特に病床使用率は50%台で高止まりし、入院率も20%程度と低水準で推移するなど医療提供体制の逼迫(ひっぱく)は続いている。

 県関係者によると、6、7日と続けて県職員が政府とやりとりし「現状の感染状況を考えれば宣言を解除してまん延防止等重点措置に移行する状況にはなっていない」として期間延長を求める意向を伝えた。しかし政府からの返答がなかったため、知事名での要請書提出に至ったという。

© 株式会社下野新聞社