ニトリの挑戦!発祥の地、北海道に活気を

けいナビ

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家具インテリア最大手のニトリ。2年後には売り上げ1兆円を目標に掲げる。その一方で、北海道発祥の企業として「北海道を元気に」を合言葉にさまざまな施策を打っている。その取り組みを追った。

【ブドウに桃…ニトリが観光果樹園?】

余市にあるニトリ観光果樹園。ニトリホールディングスの似鳥昭雄会長が出資し、経営に携わっている。

約11ヘクタールの土地に、初夏から夏にかけてイチゴやサクランボ、秋にはブドウやリンゴ、梨などが実をつける。

気候変動で北海道でもおいしい桃が実るようになったという
熟したプラムは甘味が強い

果樹栽培で有名な余市町。JA余市によると、町内の栽培農家は約400戸。8年前と比べても20戸以上減り、減少傾向が続いているという。150年以上の歴史があるこの果樹園は、コロナ前には年間5万人以上が訪れ、その3割を海外客が占めていた。一昨年、先代の社長が亡くなり後継者問題が持ちあがるなか、出資の話があったのだという。

現在の社長で先代のいとこにあたる山本秀弘さんは、「それまで農家の延長線上で経営管理をしていた。ニトリが商業として切り替え、これが本当の経営かと思った」と、ニトリの経営参加による変化は大きかったと話す。

果樹園の執行役員を務める似鳥会長の長男靖季(はるき)さんは「参画に狙いがあったというよりも、創業地への思いが強かった」と話す。ニトリの経営ノウハウによって選択と集中を行い、効率化を進めた。一方で、バナナやミカン栽培のような新たなチャレンジもしている。耐寒性を上げた種でコーヒーを栽培する計画もある。

おととしには余市、仁木の両町と協定を結び、食や観光を中心に据えた地域経済の活性化を目指している。

【ITにワイン…北海道の人材育成も】

北海道大学の数理・データサイエンス教育研究センター。ここで研究をしている本間さん、実はニトリの社員。現在、客員研究員として北大に出向している。北大の教員とともに研究し、国際学会で発表も行った。

ニトリはおととし札幌市や北大と連携協定を結び、「未来のIT人材」の育成に力を入れている。取り組むのは、データを分析してビジネスなどへ生かす「データサイエンス」教育だ。

北大の長谷山副学長

高度な技術者を育てる取り組みとして、ニトリは北大に寄付講座を設定。教職員や大学院生から研究テーマを公募し、今年度は「コロナ禍における店舗省人化」などのテーマが選ばれた。ニトリはビジネスの現場で得たデータを提供しているほか、社内の研究グループも参加する。長谷山副学長は、大学が研究テーマの設定から関わる「新たな産学連携の形」と期待を寄せている。

IT人材のすそ野を広げる取り組みも進んでいる。北大はおととしから、文系・理系を問わず全ての新入生にプログラミングなどのデータサイエンス教育を実施。全国でもデジタル教育の力を入れている大学だ。ことしからはニトリとの連携協定の枠組みに北海道も加わり、教育の範囲を高校生など北海道の未来を支える世代へと広げている。

北大の数理・データサイエンス教育研究センターの阿部特任准教授は「参画者の年齢的な幅、分野的な幅をどんどん広げていかないといけない。育った若年層が次の指導人材に変わるという、次の10年、20年を作っていくことが寄付講座に求められる今後の展開」と話す。

後志のニセコ町にあるワイナリー。やってきたのは、北海道が主催する北海道ワインアカデミーの受講生たち。栽培に関する知識と技術を高めようと、猛暑にも関わらず北海道各地から30人以上が集まった。ほぼすべての受講生が、ブドウ栽培に携わっている。

この日学んだのは、ブドウの生育不良を引き起こす根頭がん腫という病気が発生した場合の対処法だ。こうした取り組みも、ニトリの成長戦略のひとつ。ニトリは、北海道ワインアカデミーとの連携を強め、北海道のワイン産業をけん引できる人材を育成することを目指す。

【シンポジウムで似鳥会長が語ったこととは】

先月札幌で開かれた、日本経済新聞の北海道での印刷開始50周年を記念したシンポジウム。

似鳥会長は「北海道には全国、世界で活躍しようという企業が少なすぎる」と指摘。その結果優秀な人材が北海道外に流出するなど、地域経済にもマイナスの影響をもたらしていると問題提起した。

優秀な人材を北海道に定着させ経済を発展させていくために、北海道はまず何をすべきか。似鳥会長は「農業と観光の2つを伸ばしていくべき」と話す。ニトリが2018年に取得した小樽の高級旅館、銀鱗荘ではコロナ下の今、北海道内の客をターゲットにしたサービスに力を入れている。

似鳥会長は「コロナは逆にチャンス。今までとは違うやり方を考える。同じやり方とか人がやっていることをやってもうまくいかない」と、コロナをピンチと捉えるのではなく、新たな成長のきっかけにすべきだと話す。

北海道が持つポテンシャルを生かし、世界で活躍する企業・人材が増えていくことに期待したい。
(2021年9月11日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)