キリンの出産“美しき親子愛” 東京・羽村市動物公園

東京にある羽村市動物公園で2021年4月、キリンの赤ちゃんが誕生しました。出産からこれまでの成長の記録をお届けします。

4月に生まれたのはアミメキリンの赤ちゃんです。出産を迎えた母親の「小町」が破水して間もなく、赤ちゃんの前足が見えてくると、飼育員は小町に屋内に入るように促しました。室内に入れた理由について飼育員の磯部さんは「外で産んでしまうと、気温差だったり赤ちゃんが立ち上がる時に空間が広過ぎて転んだり、いろいろなリスクが考えられるため」と話します。飼育員たちは室内で出産ができるよう、この日のためにわらなどを敷き詰めて準備をしてきました。そして最初の破水から1時間後、羊膜に包まれた顔が見え始め、さらに20分ほどでついに赤ちゃんが生まれました。これまで3頭の出産経験を持つ小町は落ち着いた様子です。なかなか立ち上がることができない赤ちゃんに対し、小町は応援するかのようにわが子の体をなめてあげます。すると生まれてからおよそ2時間後、おぼつかない足元ながらも赤ちゃんはなんとか自分の力で立ち上がることができました。頑張った赤ちゃんに小町はさらに体をなめて愛情を注ぎます。

5月になると赤ちゃんは母親と外に出ることが増えました。生後20日を過ぎると母乳を求めながらも親をまねて葉っぱに興味を示し食べ始めます。現在は赤ちゃんの健康管理などのために雄と雌の間に仕切りを設けていますが、父親の「タツキ」も柵越しに赤ちゃんをなめ、スキンシップを取る様子も見られます。すると赤ちゃんもどこかうれしそうな様子です。親からの愛を一身に受けるキリンの赤ちゃんはすくすくと成長しています。

4月に生まれた雌の赤ちゃんは8月に一般公募によって名前が決まりました。「彩羽(いろは)」という名前は、この子の未来が彩り豊かであるようにという思いと、羽村市の「羽」の文字を取り入れて名付けられました。

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