「従軍慰安婦」「強制連行」表記を変更 教科書5社の申請を文科省が承認

文部科学省

文部科学省は8日、慰安婦問題や第2次大戦中の朝鮮半島からの徴用を巡る教科書の記述について、教科書会社5社から「従軍慰安婦」「強制連行」との記述の削除や変更の訂正申請があり、同日付で承認したと明らかにした。現在使用されている教科書の他、来春から使われるものもある。

政府は4月、「従軍慰安婦」という表現は誤解を招く恐れがあるとして、単に「慰安婦」とするのが適切とする答弁書を閣議決定。朝鮮半島から日本本土への労働者の動員を「強制連行」とひとくくりにする表現も適切でないとした。

5社は山川出版社、東京書籍、実教出版、清水書院、帝国書院。教科書は、中学社会1点と、高校の地理歴史26点、公民2点の計29点。

「従軍慰安婦」では、多くが「慰安婦」に変更。「強制連行」「強制的に連行」では、「強制的な動員」としたり、「徴用」としたりした。
教科書問題に詳しい文筆人の但馬オサム氏はこう語る。

「『従軍慰安婦』というのは、戦後作られた造語です。そういう歴史的に不正確な呼称がいまだに教科書に載っていたということの方が驚きでしょう。慰安婦とは軍に営業を許可された慰安所(売春宿)で働く女性のことで、日本軍にだけあるものではなく、世界中の軍隊に類似のシステムはありました。それこそ古いフランス映画では、兵隊と売春婦の恋愛というのはよくあるパターンでした」

また、「強制連行」という単語も変更されて当然だという。

但馬氏は「戦時動員は当時、国民としての義務ですから、『強制』なのは当たり前です。朝鮮人も当時は日本国籍をもった『日本人』でした。『強制』と頭につけることで、いかに当時の政府と軍部が非人道的だったかという印象を持たせる、そんな意図を感じずにいられません」と話している。

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