韓国で大ヒットした壮大なミステリー・ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』待望の日本演出版開幕!

19世紀末にロンドンで起こった猟奇的連続殺人事件とその犯人像をモチーフにし、 2007年にチェコで制作されたミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』。 2年後に韓国にて大幅な脚色がなされ、 その後新曲も追加されて、 韓国で幾度となく上演が繰り返される大ヒットミュージカルへと発展した。 2012年と2013年には韓国からの来日公演も行われ、 日本でもファンの多い本作が、 演出・白井晃の手によって新たに生まれ変わり、 ついに今月9日、 初日の幕を開ける。 人々の興味を惹き続け、 100 年以上に渡り小説や映画、 舞台の題材として取り上げられた「切り裂きジャック」事件に、 新たな解釈を提示するミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』。 演出の白井晃は本作を「愛の物語である」と語り、 劇的なストーリー展開の中にも人間の本質や愛憎を際立たせる細やかな演出を見せている。 外科医ダニエル役の木村達成は、 純粋さ故に闇へ堕ちてゆくそのまっすぐな想いの強さを、 同じくダニエル役(Wキャスト)の小野賢章は、 医者としての熱意と愛の深さがねじ曲がっていく様をたくみに表現している。 刑事アンダーソン役の加藤和樹は、 正体の知れぬ殺人鬼を追う正義への想いと、 理想通りにいかない現実との葛藤を見事に両立させている。 同じくアンダーソン役(Wキャスト)の松下優也は、 心のうちに秘めた純粋さと、 それを表現できない苦悩を繊細に描き出す。

殺人鬼ジャック役をアンダーソンと回替わりで演じる加藤は、 打って変わって地響きのように広がる歌声でダニエルを支配し、 誰の心にも住み着く悪として存在する。 同じくジャック役(Wキャスト)の堂珍嘉邦は、 得体の知れない殺人鬼を妖しい色気のある声で表現し、 タイトルロールとしての貫禄をみせる。 ダブルキャストそれぞれが全く違う個性を持ち、 組み合わせによる作品の魅力の違いも多いに楽しめるだろう。ダニエルと恋に落ちる娼婦グロリア役のMay‘nは、 未来を夢見る姿と7年後の壮絶な日々のギャップを見せながら、 芯の強い女性像を表現する。アンダーソンの元恋人、 娼婦ポリー役のエリアンナは、 理不尽な現実を憎みながらも愛に溢れた人物像を切なく響き渡る歌声で魅せる。新聞記者モンロー役の田代万里生は、 これまでに見せたことの無いいやらしい芝居と歌声で、 ペンの力で世間を動かすという野心と金への執着を見せ観客を惹きつける。 アンサンブルキャストの活躍も印象的だ。 白井版『ジャック・ザ・リッパー』にとって重要な“街“の存在を形作る彼らは、 市民や記者、 娼婦など多様な役を演じ分け、 ストーリーに奥行きを与えている。 さらに、 重厚なコーラスが特徴的な楽曲が多く、 彼らはエネルギッシュで美しいハーモニーを響かせて、 楽曲の魅力を最大限に引き出している。

ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』は、 思わず動き出したくなるようなロックテイストのナンバーから、 うっとりするような愛のデュエットまで、 様々な曲調が楽しめ、 それぞれの楽曲の良さを堪能できる。 ロンドン・ホワイトチャペル地区の街並みを現代から覗き込むかのような舞台美術は、 色調を抑えたダークテイストで、 当時の市民の苦悩がにじみ出る。 人々の感情を切り抜くかのように街を照らすシャープな照明と立体的な映像が、 このミステリー・ミュージカルの世界観を一層引き立てている。 人間の素直な欲求をまっすぐに突き詰めていく登場人物は、 抑圧された日々を生きる私たちに鮮烈な刺激と非日常の開放感を与えてくれるに違いない。 上演時間は、 2時間30分(休憩20分を含む)を予定。 東京公演は9月9日(木)~29日(水)まで日生劇場にて、 その後10月8日(金)~10日(日)まで大阪・フェニーチェ堺 大ホールにて上演。 東京公演チケットは、 ホリプロステージにて好評発売中。

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