紀伊半島大水害から10年 被災地の土砂対策工事の現場は

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 紀伊半島大水害から10年。きょうは、被災地で10年間にわたって続けられている土砂対策工事の現場を取材しました。

 奈良県内で15人が死亡し、今も9人の行方が分からなくなっている紀伊半島大水害。2度とこうした被害を繰り返さないため、紀伊半島全体で11か所、県内では7か所で斜面や河川護岸の整備が進められています。

しかし、大水害から10年が経ったにも関わらず、そのうち完成したのは1か所のみ。それが今年2月に工事が終了した五條市大塔町の清水地区です。

清水地区では表面の地層だけでなく、深い地層の地盤が崩れる「深層崩壊」によって、山の斜面が高さ250メートルにわたって崩落。そして、崩れた大量の土砂は熊野川を越えて、対岸の宇井地区を襲いました。8人が亡くなり、今も3人の行方が分かっていません。工事では約67億円をかけ、幅220メートル、長さ350メートルにわたって斜面を固めたほか、雨の際に表層の雨水を排出する水路が作られました。

紀伊山系砂防事務所・田村友秀副所長

「(整備するのが)11か所といっても同じ現場はほとんど無くて、現場現場で、いろんな特徴というか崩壊のメカニズムがございます。一か所だけですけども事業が完成したという事で、引き続き他の10か所についても早期の完成を目指し頑張っていきたい。」

 

一方、こちらは天川村の冷水地区。

斜面の深層崩壊で流された土砂が川をせき止めて大規模な浸水被害が発生しました。ここでも斜面を安定する工事や川の護岸工事などが進んでいます。しかし、斜面から滑り落ちる土砂を防ぐための押え盛土の工事が完成したのは10段中4段まで。また、地中にたまった地下水を排出する井戸を設ける工事などは、まだ道半ばです。対策工事が長引く要因は、大水害後も毎年のように現地を襲う雨や台風などの影響で土が動くため、計画をその都度調整する必要があるためだといいます。

災害直後に比べ、徐々に計画通りできるようになっているといいますが、依然、急峻な地形と紀伊半島の自然の厳しさが復旧工事の前に立ちはだかっています。

紀伊山系砂防事務所・田村友秀副所長

「雨で斜面が動き出すのを監視しながら工事をするので、なかなか予定通り進まない部分もあったり途中で計画を見直す事もございます。紀伊半島大水害から10年という事で10年経ってまだ工事を続けておりますけれど、1日でも早く地域の方に安全・安心をお届け出来るように引き続き頑張っていきます」

 あの日の災害を忘れない。もとの生活に戻るまで災害復旧工事は続きます。